論理式を記述する際,必要性だけで横着せずに,改行するごとに十分性まで考える,すなわち同値変形すればいいのです.
\[P_1\Longleftrightarrow P_2\Longleftrightarrow P_3\Longleftrightarrow\cdots \Longleftrightarrow P_n\]
このように変形すれば,行を追うごとに同値性を確認しているので,最後に逆を確認する必要がない.(★★)
このことに注意して再度解答を作成してみます.
【解答”】
\[\begin{align*}
&2-x=\sqrt{x}\\
\Longleftrightarrow&~(2-x)^2=x \land 2-x>0 \\
\Longleftrightarrow&~x^2-4x+4=x \land 2>x\\
\Longleftrightarrow&~x^2-5x+4=0 \land x<2\\
\Longleftrightarrow&~(x-4)(x-1)=0 \land x<2\\
\Longleftrightarrow&~(x=4 \lor x=1) \land x<2\\
\Longleftrightarrow&~(x=4 \land x<2) \lor (x=1\land x<2) \\
\Longleftrightarrow&~x=1\land x<2 \\
\Longleftrightarrow&~x=1
\end{align*}
\]
【解答”終】
このように同値変形を行えば,逆の考察をする必要がなく,解は\(x=1\)と自信をもって答えられます(参考:軌跡の問題を論理式で記述する)
また,この解答のように論理記号\(\lor\)や\(\land\)やその分配法則を用いると簡潔に記述できます.論理記号の意味やその各種法則などの使い方も知っておくことは数学を学ぶ上で強力な武器(というかなくてはならない基礎体力)になります.ですから余力のある人は受験数学範囲の(記号)論理学を学んでおくといいと思います.
ちなみに,数学Ⅲを履修している人は,無理関数のグラフを描くことで視覚的に不適解を排除することができるでしょう.そっちの解答の方が直観的で手間もなく,実戦的だと思います.しかし,「絵」による定性的判断は時に誤った結論を導くことがあります.一方,論理による定量的判断は絶対です.その意味で,論理を味方にしておくことは極めて重要と個人的に思います.
というわけで,(★)の考え方だけでなく,(★★)の考え方も攻め方として持っておくとよいでしょう.それぞれにメリット,デメリットがあります.どちらか片方だけに固執するのではなく,状況に応じて攻め方を変えられるようになりたいものです.