上の放物線と直線で囲まれる部分の面積\(S\)は,いずれの場合も\[S = \frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{3}\]で表される.
証明
\(a>0\)の場合と\(a<0\)の場合とで場合を分けて考える.
(\(a>0\)の場合)
被積分関数\(g(x)-f(x)\)がどんな関数になるかを考える.これは,
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- \(2\)次式で,
- 次数が一番大きい項の係数は\(a\)で,
- \(\alpha\)が重解,すなわち\(g(x)-f(x)=0\)を解いて得られる\(2\)つの解が\(\alpha,\alpha\)である
-
ことに着目すると,\[f(x)-g(x)=a(x-\alpha)^2\]とかける.したがって求める部分の面積は
\begin{align*}
\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} a(x-\alpha)^2 dx = &a\left[\frac{(x-\alpha)^3}{3}\right]_{\alpha}^{\beta} = \frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{3}
\end{align*}
(\(a<0\)の場合)
上と同様に考え,
\begin{align*}
\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} -a(x-\alpha)^2 dx = &-a\left[\frac{(x-\alpha)^3}{3}\right]_{\alpha}^{\beta} = \frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{3}
\end{align*}
以上により,いずれの場合も面積\(S\)は\[\frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{3}\]で表されることになる.
証明終
教科書等でもよく見るシチュエーションですが,教科書のように展開してゴチャゴチャ計算するのは悪手です.いつも通り\(f(x)-g(x)\)を特徴付ける情報に目をつけ,得られた被積分関数は(数学Ⅱのみの履修であっても)合成関数(のちに記事にします)とみなすべきです.公式として覚えてもよいですが,見ての通り証明は容易なので,これは結果を覚えるというより上のように計算した方がよいでしょう.