「すべての」と言われたら

実数の組\((x,y,z)\)で,どのような整数\(l,m,n\)に対しても,等式\[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny\]が成り立つようなものをすべて求めよ.

(大阪大)


もし日常で上のようなやりとりがあればWさんはちょっとアレなひとと評されますが,数学の問題を考える上ではWさんの姿勢の方が正しい。「なんでも」といった以上,例外は許されないからです。

そこでWさんと同じ姿勢で,「すべての」「任意の」と言われたのでその言葉を逆手にとり自分にとって都合の良い\(l,m,n\)を代入してやろう,と考えます。うまく文字が減ってくれそうなのは\(0\)ですから,これの代入を考えます。しかし\(l,m,n\)すべてに\(0\)と代入しても\(0=0\)という正しくも旨味のない式しか得られませんから,\(l,m,n\)のうち\(2\)つを\(0\),他を(簡単な)\(1\)と代入してみることにします。

\((l,m,n)=(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)\)と代入すると,\[\begin{cases}10^{x-y}+10^{y-z}=13\\10^{x-z}=36\\-x=y\end{cases}\]が得られるので,これを解いてみます。

\begin{align*}
&\begin{cases}10^{x-y}+10^{y-z}=13\\10^{x-z}=36\\-x=y\end{cases}\\
\Longleftrightarrow&\begin{cases}10^{x-y}+10^{y-z}=13\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}
\Longleftrightarrow\begin{cases}10^{2x}+10^{-2x+\log_{10}36}=13\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}\\
\Longleftrightarrow&\begin{cases}(10^{2x})^2-13\cdot10^{2x}+36=0\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}
\Longleftrightarrow\begin{cases}(10^{2x}-9)(10^{2x}-4)=0\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}\\
\Longleftrightarrow&\begin{cases}10^{2x}=9 \lor 10^{2x}=4\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}
\Longleftrightarrow\begin{cases}x=\log_{10}3 \lor x=\log_{10}2\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}\\
\Longleftrightarrow&\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
\lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
\end{align*}
よって\((x,y,z)=(\log_{10}3,-\log_{10}3,\log_{10}3-\log_{10}36)\)または\((\log_{10}2,-\log_{10}2,\log_{10}2-\log_{10}36)\)と求まります。

しかしこれをもって答えとしてはいけません。なぜならここで得られた結論は必要条件にしか過ぎず,十分条件であるとは限らないからです。つまり
\begin{align*}
&\forall l,m,n\in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
&\Longrightarrow\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
\lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
\end{align*}
ですが
\begin{align*}
&\forall l,m,n\in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
&\Longleftarrow\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
\lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
\end{align*}
とは限らない,ということです。なので逆(\(\Leftarrow\))を調べる必要があります:

\((x,y,z)=(\log_{10}3,-\log_{10}3,\log_{10}3-\log_{10}36)\)のとき
式\[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny\]にこれらを代入すると\[13l+36m+(-\log_{10}3)n=13l+36m+(-\log_{10}3)n\]となり,これは明らかにすべての\(l,m,n\in\mathbb{Z}\)で成り立つ。

\((x,y,z)=(\log_{10}2,-\log_{10}2,\log_{10}2-\log_{10}36)\)のとき
上と同様にこれらを代入すると\[13l+36m+(-\log_{10}2)n=13l+36m+(-\log_{10}2)n\]が得られ,やはりすべての\(l,m,n\in\mathbb{Z}\)で成り立つ。

これで逆も言えました。すなわち
\begin{align*}
&\forall l,m,n\in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
&\Longleftrightarrow\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
\lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
\end{align*}であることが分かり,今度は自信をもって\((x,y,z)=(\log_{10}3,-\log_{10}3,\log_{10}3-\log_{10}36)\)または\((\log_{10}2,-\log_{10}2,\log_{10}2-\log_{10}36)\)が答えであるといえます。

追記

次のような解法はどうでしょうか。

\(l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny\)の左辺を\(l,m,n\)で整理して係数を比較してはどうか?

 
すなわち,
\begin{align*}
&\forall x \in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
\Longleftrightarrow~&\forall x \in \mathbb{Z}[(10^{x-y}+10^{y-z})l+10^{x-z}m+(-x)n=13l+36m+yn]\\
\overset{(\ast)}{\Longleftrightarrow}~&\begin{cases}10^{x-y}+10^{y-z}=13\\10^{x-z}=36\\-x=y\end{cases}\\
\Longleftrightarrow~&\cdots\\
\Longleftrightarrow~&\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
\lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
\end{align*}
です。得られる3つの式は同じなので一見正しそうです。このアプローチについて詳しく見てみます。(つづく)

実験する

次の\(2\)つの条件\(\mathrm{(i),(ii)}\)をみたす自然数\(n\)について考える.

\(\mathrm{(i)}~\)\(n\)は素数ではない.
\(\mathrm{(ii)}~\)\(l,m\)を\(1\)でも\(n\)でもない\(n\)の正の約数とすると,必ず\[|l-m|\leq 2\]である.このとき,次の問いに答えよ.

    1. \(n\)が偶数のとき,\(\mathrm{(i),(ii)}\)をみたす\(n\)をすべて求めよ.
    2. \(n\)が\(7\)の倍数のとき,\(\mathrm{(i),(ii)}\)をみたす\(n\)をすべて求めよ.
    3. \(2\leq n \leq 1000\)の範囲で,\(\mathrm{(i),(ii)}\)をみたす\(n\)をすべて求めよ.

(大阪大)

うーん/(^o^)\
なんかよくわからないので,実験してみます。

(考え方)

\(\textbf{1.}\)
偶数\(2,4,6,8,\cdots\)を順に調べてみます。

するとどうやら,\(n\)が\(10\)以降だと適するものが現れないのでは?と予想できます。そこで,「\(n\geq 10\)ならば\(n\)は\(\mathrm{(i),(ii)}\)を満たさない」という命題の証明を試みます。実際,\(n=2k~(k\geq 5)\)とおくと,\(2\)と\(k\)は\(n(=2k)\)の\(1\)でも\(n\)でもない正の約数ですが,\[|k-2|=k-2\geq 5-2 =3\]となり\((\mathrm{ii})\)を満たしません。

これで\(1.\)の答えは\(4,6,8\)のみであることが分かりました。

\(\textbf{2.}\)
これも\(1.\)と同様に考えてみます。ただし\(n\)が偶数の場合は\(1.\)ですでに調べているので,これを除いて調べていきます:

すると\(n\)が\(63\)以降だと適するものが現れないのでは?と予想できます。そこで「\(n\geq 63\)ならば\(n\)は\(\mathrm{(i),(ii)}\)を満たさない」という命題の証明を試みると:

\(n=7k~(k\geq 9)\)とおく.\(k=9\)とき,\(n=63\)より正の約数は\(1,3,7,9,21,63\)だから\((\mathrm{ii})\)を満たさない.\(k \geq 11\)のとき,\(7\)と\(k\)は\(n(=7k)\)の\(1\)でも\(n\)でもない正の約数だが,\[|k-2|=k-2\geq 11-2 =9\]となり\((\mathrm{ii})\)を満たさない.

これで\(2.\)の答えは\(35\)と\(49\)のみであることが分かりました。

\(\textbf{3}.\)
上と同じように考えれば,\(n\)が\(3\)の倍数のとき,\(5\)の倍数のときも同じように\(\mathrm{(i),(ii)}\)を満たす\(n\)が簡単に見つかる気がします。もしそうであれば,結局\(2,3,5,7\)の倍数についてはすべて調べ上げたことになるので,調べるべき残りの\(n\)は(\(\mathrm{(i)}\)より\(n\)は素数でないことに注意すれば)\(11\)以上の素因数からなる合成数のみ調べればよいことが分かります(エラトステネスのふるい)。また,その合成数の因数の個数に着目すれば,因数の個数が\(1\)個のとき素数になるから\(\mathrm{(i)}\)を満たさず,因数の個数が\(3\)個以上のときは最小でも\(11^{3}=1331\)となり\(1000\)を超えてしまうことから,(素)因数の個数は\(2\)個であることが分かります。さらに,\(37 \times 37 =1369>1000\)より,\(37\)以降の素数については考える必要はありません。以上の考察から以下のように結論できます:

\(n\)が\(3\)の倍数の場合
\(2,7\)の倍数のときはすでに調べてあり,また\(5\)の倍数の場合はこのあと調べるのでこれらを除いて調べると

求める\(n\)は\(9\)のみであることが分かる(証明は上と同様なので割愛).

\(n\)が\(5\)の倍数の場合

求める\(n\)は\(15\)と\(25\)のみであることが分かる(証明割愛).
あとは素因数が\(11\)以上で\(31\)以下であり,かつその個数が\(2\)個である合成数のみを調べればよい.


するとそれは(\(\mathrm{(ii)}\)に注意して)\[11^2,13^2,17^2,19^2,23^2,29^2,31^2,11\times13,17\times19,29\times 31\]すなわち\[121,169,289,361,529,841,961,143,323,899\]のみであることがわかる.以上により求める\(n\)は\[4,6,8,9,15,25,35,49,121,143,169,289,323,361,529,841,899,961\]となる.

(考え方終わり)

既知の解法にはまらないとき,あるいは既知の解法に帰着しないとき(=何をすればいいのか見通しが立たないとき),「とりあえず実験してみて,予想し,それを証明する」という姿勢はしばしば有効な気がします。(少なくとも泥臭く手を動かすだけで\(2.\)までは答えを導ける!)

連立方程式(解の存在条件)

実数\(m\)を定数とする.\(x\)と\(y\)に関する連立1次方程式\(\begin{cases}2x+y-2=0\\mx-y-3m+1=0\end{cases}\)が\(x>0\)かつ\(y>0\)である解をもつための必要十分条件を求めよ.

(慶応大)

受験勉強を始めると最初の方で出会ってやる気を削ぐ系の問題^^;

解答

\begin{align*}
&~\exists x \exists y \left[\begin{cases}2x+y-2=0\\mx-y-3m+1=0\end{cases}\land x>0 \land y>0\right]\\
&~\exists x \exists y \left[\begin{cases}2x+y-2=0\\(m+2)x-3m-1=0\end{cases}\land x>0 \land y>0\right]\\
\Longleftrightarrow&~\exists x \exists y \left[2x+y-2=0 \land (m+2)x-3m-1=0 \land x>0 \land y>0 \right. \\
&\left.\land (m+2=0 \lor m+2 \neq 0)\right]\\
\Longleftrightarrow&~\exists x \exists y \left[(2x+y-2=0 \land (m+2)x-3m-1=0 \land x>0 \land y>0 \land m+2=0 )\right.\\
&\lor \left.(2x+y-2=0 \land (m+2)x-3m-1=0 \land x>0 \land y>0 \land m+2 \neq 0)\right]\\
\Longleftrightarrow&~\exists x \exists y \left[(2x+y-2=0 \land 5=0 \land x>0 \land y>0 \land m=-2) \right.\\
&\lor \left.(2x+y-2=0 \land (m+2)x-3m-1=0 \land x>0 \land y>0 \land m \neq -2)\right]\\
\Longleftrightarrow&~\exists x \exists y \left[y=-2x+2 \land x =\frac{3m+1}{m+2} \land x>0 \land y>0 \land m \neq -2)\right]\\
\Longleftrightarrow&~\exists x \exists y \left[y=-2\frac{3m+1}{m+2}+2 \land x =\frac{3m+1}{m+2} \land x>0 \land y>0 \land m \neq -2)\right]\\
\Longleftrightarrow&~\exists x \exists y \left[y=\frac{2-4m}{m+2} \land x =\frac{3m+1}{m+2} \land x>0 \land y>0 \land m \neq -2)\right]\\
\Longleftrightarrow&~\frac{2-4m}{m+2}>0 \land \frac{3m+1}{m+2}>0 \land m \neq -2\\
\Longleftrightarrow&~\frac{2-4m}{m+2}>0 \land \frac{3m+1}{m+2}>0 \land (m+2>0 \lor m+2<0)\\ \Longleftrightarrow&~ \left( \frac{2-4m}{m+2}>0 \land \frac{3m+1}{m+2}>0 \land m+2>0 \right)\\
&\lor \left(\frac{2-4m}{m+2}>0 \land \frac{3m+1}{m+2}>0 \land m+2<0\right)\\ \Longleftrightarrow&~ \left( 2-4m>0 \land 3m+1>0 \land m>-2 \right)\\
&\lor \left(2-4m<0 \land 3m+1<0 \land m<-2\right)\\
\Longleftrightarrow&~ \left( m<\frac{1}{2} \land m>-\frac{1}{3} \land m>-2 \right)\lor \left(m>\frac{1}{2} \land m<-\frac{1}{3} \land m<-2\right)\\
\Longleftrightarrow&~ m<\frac{1}{2} \land m>-\frac{1}{3} \land m>-2\\
\Longleftrightarrow&~ -\frac{1}{3} < m < \frac{1}{2}
\end{align*}

解答終

こう考えればただの(論理)計算問題なのでめっちゃ楽。

tex備忘録

自分のためのノート(emathを置く場所)

  1. コマンドプロンプトを開く(Windowsキー+r→cmdと入力,enter)
    C:\Users\*****
  2. *****の下にtexmfというフォルダを作る
  3. コマンドプロンプトで
    kpsewhich –expand-path=$TEXMF
    と入力しenter
  4. ;の数+1=1ならそこを★とおき,6.へ
    ;の数+1>1ならコマンドプロンプトで
    kpsewhich –expand-path=$TEXMFHOME
    と入力しenter
  5. 返ってくるもの(3.の結果でみた〇;△;□のどれか)を★とおく
  6. コマンドプロンプトで
    kpsewhich –progname=platex jarticle.cls
    と入力しenter
  7. …/texmf/☆☆☆/☆☆☆/base/…
    または
    …/texmf-dist/☆☆☆/☆☆☆/base/…
    と表示される
  8. 置き場所は
    ★/☆☆☆/☆☆☆/misc/emath
    (フォルダmisc,emathは新規に作成する)
  9. ここにsty.zipを解凍して得られるファイルをすべて置く

合同式の応用

    1. \(10^{10}\)を\(2020\)で割った余りを求めよ。
    2. \(100\)桁の正の整数で各位の数の和が\(2\)となるもののうち,\(2020\)で割り切れるものの個数を求めよ。
  • (一橋大)

    解答

    \(2020\)を法として考える.以下,\(\mod 2020\)を省略して記述する.
    \(10000\equiv10000+2020\cdot(-5)\equiv-100\)であるから
    \begin{align*}
    10^{10}\equiv&10^2\cdot(10^4)^2\\
    \equiv &10^2\cdot(-100)^2\\
    \equiv &10^2\cdot10000\\
    \equiv &10^2\cdot(-100)\\
    \equiv &-10000\\
    \equiv &-(-100)\\
    \equiv &100
    \end{align*}

    ゆえに\(10^{10}\equiv100\)(\(1.\)の答え

    \(100\)桁の正の整数で各位の数の和が\(2\)であるような数は
    \begin{align*}
    \mathrm{(i)}\quad &2\underbrace{0\cdots0}_{99\text{個}}=2\times10^{99}\\
    \mathrm{(ii)}\quad &1\underbrace{0\cdots01\overbrace{0\cdots0}^{k\text{個}}}_{99\text{個}}=10^{99}+10^k\quad(0\leq k \leq 98)
    \end{align*}のいずれかである.

    \(\mathrm{(i)}\)のとき
    \(1.\)により\(10^{10}\equiv10^2\)であることに注意して,
    \begin{align*}
    2\times10^{99}\equiv&2\cdot10^{9}\cdot(10^{10})^9\\
    \equiv&2\cdot10^{9}\cdot(10^{2})^9\\
    \equiv&2\cdot 10^{27}\\
    \equiv&2\cdot(10^{10})^2\cdot10^7\\
    \equiv&2\cdot(10^{2})^2\cdot10^7\\
    \equiv&2\cdot10^{11}\\
    \equiv&2\cdot10^{10}\cdot10\\
    \equiv&2\cdot10^{2}\cdot10\\
    \equiv&2000\\
    \end{align*}ゆえにこの数は\(2020\)で割り切れない.

    \(\mathrm{(ii)}\)のとき
    \(10^{99}+10^{k}\equiv 1000 + 10^{k}\)より(なぜならば\(\mathrm{(i)}\)の途中過程により\(10^{99}\equiv1000\)),\(1000+10^k\equiv 0(\Leftrightarrow 10^{k}\equiv -1000)\)を満たす\(k~(0\leq k \leq 98)\)の個数を調べればよい.\(k\)の値は高々\(99\)個なので,実際に調べてみると(やる気),

     

    \(1,10\)から始まり,\(100,1000,-100,-1000\)と繰り返すことがわかる.したがって,\(99=2+4\times 24+1\)により求める個数は\(24\)個とわかる.(\(2.\)の答え

    解答終

    必要条件を追う

    \(a_0,a_1,a_2\)を有理数とし,\(f(x)=a_0+a_1x+\frac{a_2}{2}x(x-1)\)とする.\(1\)つの整数\(n\)に対して,\(f(n),f(n+1),f(n+2)\)が整数ならば,\(a_0,a_1,a_2\)は整数であることを示せ.

    (中央大)

    示すべきは必要条件であること,つまり十分性(逆が言えるか?)を考える必要がないことに注意します。これは細かいことを考えず手元にある道具(仮定)を好き勝手にいじり倒して結論が言えればその時点で証明終わりということなので気楽です:\[f(n),f(n+1),f(n+2)\in\mathbb{Z}\overset{\text{ひつよう!}}{\Longrightarrow} a_0,a_1,a_2 \in\mathbb{Z}\]
    とりあえず,\(f(n)\)と\(f(n+1)\)の\(n\)と\(n+1\)は連番なので,差をとってみたらどうか?と思いつきます。(邪魔者がもろもろ消えそうだから)\begin{align*}
    &~f(n+1)-f(n)\in \mathbb{Z}\\
    \Longleftrightarrow&~\left(a_0+a_1(n+1)+\frac{a_2}{2}(n+1)n\right)\\
    &~-\left(a_0+a_1n+\frac{a_2}{2}n(n-1)\right)\in \mathbb{Z}\\
    \Longleftrightarrow&~a_1+a_2n \in \mathbb{Z}\tag{1}
    \end{align*}なんかうまくいきそうなので,\(f(n+2)-f(n+1)\)も同様に計算すると,\[f(n+2)-f(n+1)\in \mathbb{Z}\Longleftrightarrow a_1+a_2n+a_2 \in \mathbb{Z}\tag{2}\]が得られます。\((1)\)と\((2)\)において\(a_1+a_2n\)が共通していることに着目して\(a_2\)が整数であることがわかり,またこれと\((1)\)により芋づるで\(a_1\)が整数であることが言えます。残りは\(a_0\)ですが,これは\(f(n)=a_0+a_1+\frac{a_2}{2}n(n-1)\in\mathbb{Z}\)であること,すでに示したように\(a_1,a_2\in \mathbb{Z}\)であること,そして\(n(n-1)\)は連続数だから偶数したがって\(\frac{a_2}{2}n(n-1)\in\mathbb{Z}\)であることからいうことができます。(証明終)

    とりあえず必要性を追うという方針で証明してみましたが,こうしてみると次のように同値変形できることに気づきます:

    証明

    \begin{align*}
    &~f(n),f(n+1),f(n+2)\in \mathbb{Z}\\
    \overset{(\ast)}{\Longleftrightarrow}&~f(n+1)-f(n)\in\mathbb{Z} ,f(n+2)-f(n+1)\in\mathbb{Z},f(n)\in\mathbb{Z}\\
    \Longleftrightarrow&~a_1+a_2n \in \mathbb{Z},a_1+a_2n+a_2\in\mathbb{Z},a_0+a_1+\frac{a_2}{2}n(n-1)\in\mathbb{Z}\\
    \Longleftrightarrow&~a_1+a_2n \in \mathbb{Z},a_2\in\mathbb{Z},a_0+a_1+\frac{a_2}{2}n(n-1)\in\mathbb{Z}\\
    \Longleftrightarrow&~a_1\in \mathbb{Z},a_2\in\mathbb{Z},a_0+a_1+\frac{a_2}{2}n(n-1)\in\mathbb{Z}\\
    \Longleftrightarrow&~a_1\in \mathbb{Z},a_2\in\mathbb{Z},a_0\in\mathbb{Z}
    \end{align*}
    証明終

    \((\ast)\)において,\begin{align*}
    &~f(n),f(n+1),f(n+2)\in \mathbb{Z}\\
    \Longrightarrow&~f(n+1)-f(n)\in\mathbb{Z} ,f(n+2)-f(n+1)\in\mathbb{Z}
    \end{align*}ですが,\(f(n)\in\mathbb{Z}\)を加えることで\(\Leftarrow\)も言え,上のように同値になるというカンジです。

    絶対値の扱い

    新高1生向け。絶対値を含む方程式・不等式おいて,「場合分け」をし,「(得た結果について,場合分けで行った)条件を満たすかどうかを確認」または「共通部分」をとりました。以下はそこで「?」と思った人向けの話です。教える側としても一般的な「場合分け」で説明しているとどこか後ろめたさを感じるのでここにノートしておきたいと思います。

    まず各種公式を証明します。\(c>0\)とします。

    \begin{align*}
    &(1)\quad |x|=c \Longleftrightarrow x=\pm c\\
    &(2)\quad |x| < c \Longleftrightarrow -c < x < c\\
    &(3)\quad |x| > c \Longleftrightarrow x < -c \lor c < x
    \end{align*}

    \((1)\)の証明

    \begin{align*}
    &|x|=c\\
    \Longleftrightarrow~ & |x|=c \land (x \geq 0 \lor x < 0)\\
    \Longleftrightarrow~ & (|x|=c \land x \geq 0) \lor (|x|=c \land x < 0)\\
    \Longleftrightarrow~ & (x=c \land x \geq 0) \lor (-x=c \land x < 0)\\
    \Longleftrightarrow~ & (x=c \land x \geq 0) \lor (x=-c \land x < 0)\\
    \Longleftrightarrow~ & x=c \lor x=-c\\
    \Longleftrightarrow~ & x=\pm c
    \end{align*}

    証明終

    \((2)\)の証明

    \begin{align*}
    &|x| < c\\
    \Longleftrightarrow~ & |x| < c \land (x \geq 0 \lor x < 0)\\
    \Longleftrightarrow~ & (|x| < c \land x \geq 0) \lor (|x| < c \land x < 0)\\
    \Longleftrightarrow~ & (x < c \land x \geq 0) \lor (-x < c \land x < 0) \\
    \Longleftrightarrow~ & (0 \leq x < c) \lor (-c < x < 0) \\
    \Longleftrightarrow~ & -c < x < c
    \end{align*}

    証明終

    \((3)\)の証明

    \begin{align*}
    &|x| > c\\
    \Longleftrightarrow~ & |x| > c \land (x \geq 0 \lor x < 0)\\ \Longleftrightarrow~ & (|x| > c \land x \geq 0) \lor (|x| > c \land x < 0)\\ \Longleftrightarrow~ & (x > c \land x \geq 0) \lor (-x > c \land x < 0) \\
    \overset{(\ast)}{\Longleftrightarrow}~ & x < -c \lor c <x\\
    \end{align*}

    証明終

    \((\ast)\)の理解:
    例えば,一般に\(A\land B \Rightarrow A\)ですから\(x > c \land x \geq 0 \Rightarrow x > c\),逆に\(x > c\)であるとき,\(c > 0\)が議論の大前提であったことを思い出すと\(x > 0\)であることすなわち\(x \geq 0\)が言え,\(x > c \land x \geq 0 \Leftarrow x > c\)が得られます。

    以上の考察をそのまま問題に適用してみます。

    次の方程式・不等式を解け.
    \begin{align*}
    &(1)\quad|x+4|=3x\\
    &(2)\quad|2x+1| < x + 5\\
    &(3)\quad 4x^2+5x-12\leq 3|x|
    \end{align*}

    \((1)\)の解答

    \((2)\)の解答

    \begin{align*}
    &|2x+1| < x + 5\\
    \Longleftrightarrow~ & |2x+1| < x + 5 \land (2x+1 \geq 0 \lor 2x+1 < 0)\\
    \Longleftrightarrow~ & (|2x+1| < x + 5 \land 2x+1 \geq 0) \lor (|2x+1| < x + 5 \land 2x+1 < 0)\\
    \Longleftrightarrow~ & \left( 2x+1 < x + 5 \land x \geq -\frac{1}{2} \right) \lor \left( -2x-1 < x + 5 \land x < -\frac{1}{2}\right)\\
    \Longleftrightarrow~ & \left( x < 4 \land x \geq -\frac{1}{2} \right) \lor \left( x > -2 \land x < -\frac{1}{2} \right) \\
    \Longleftrightarrow~ & \left( -\frac{1}{2} \leq x < 4 \right) \lor \left(-2 < x < -\frac{1}{2}\right)\\
    \Longleftrightarrow~ & -2 \leq x < 4
    \end{align*}

    解答終

    \((3)\)の解答

    …ちなみに教科書等では上の公式\((3)\)を\(x < -r,r < x\)と「,(カンマ)」と書いていますがこのカンマは「または」のカンマです。教科書は「かつ」も「または」をどちらも「,(カンマ)」で略記しているので注意が必要です。

    三角形の成立条件

    \begin{align*}
    &|b-c| < a < b+c\\
    \Longleftrightarrow~& |b-c| < a \land a < b+c\\ \Longleftrightarrow~& -a < b-c < a \land a < b+c\\ \Longleftrightarrow~& -a < b-c \land b-c < a \land a < b+c\\ \Longleftrightarrow~& c < a+b \land b < a+c \land a < b+c \end{align*} なのでどっち使ってもOKです。

    値域の問題

    実数\(a,b,c\)が\(a+b+c=a^2+b^2+c^2=1\)を満たすとする.\(c\)のとりうる値の範囲を求めよ.

    「☆という値をとる」という主張を「その値☆を実現するような★が存在する」と言い換えます。あとはそれを機械的に処理するだけ。

    解答

    \begin{align*}
    &\text{\(c\)が\(k\)という値をとる}\\
    \Longleftrightarrow&~\exists a\in \mathbb{R}\exists b\in \mathbb{R}[a+b+k=a^2+b^2+k^2=1]\\
    \Longleftrightarrow&~\exists a\in \mathbb{R}\exists b\in \mathbb{R}[a+b+k=1 \land a^2+b^2+k^2=1]\\
    \Longleftrightarrow&~\exists a\in \mathbb{R}\exists b\in \mathbb{R}[b=1-a-k \land a^2+b^2+k^2=1]\\
    \Longleftrightarrow&~\exists a\in \mathbb{R}[a^2+(1-a-k )^2+k^2=1]\\
    \Longleftrightarrow&~\exists a\in \mathbb{R}[a^2-(1-k )a+k^2-k=0]\\
    \Longleftrightarrow&~(1-k )^2-4(k^2-k)\geq 0\\
    \Longleftrightarrow&~3k^2-2k-1\leq 0\\
    \Longleftrightarrow&~-\frac{1}{3}\leq k \leq 1\\
    \end{align*}

    解答終

    積の和

    実数\(x,y\)が\(|x|\leq 1\)と\(|y| \leq 1\)を満たすとき,不等式\[0 \leq x^2+y^2-2x^2y^2+2xy \sqrt{1-x^2} \sqrt{1-y^2}\leq 1\]が成り立つことを示せ.

    (大阪大学 文系)

    積の和の形\(ax+by\)を\(\left(\begin{array}{c} a \\ b \\ \end{array}\right)\cdot\left(\begin{array}{c} x \\ y \\ \end{array}\right)\)とみると事態が好転することが少なくない気がします。

    証明

    \(2xy \sqrt{1-x^2} \sqrt{1-y^2}\)という項に着目し,中辺は\(\left(y\sqrt{1-x^2}+x\sqrt{1-y^2}\right)^2\)の展開式ではないかと疑う.実際,展開してみると\begin{align*}
    &\left(y\sqrt{1-x^2}+x\sqrt{1-y^2}\right)^2\\
    =~&y^2(1-x^2)+2xy\sqrt{1-x^2}\sqrt{1-y^2}+x^2(1-y^2)\\
    =~&x^2+y^2-2x^2y^2+2xy \sqrt{1-x^2} \sqrt{1-y^2}
    \end{align*}ゆえに\[x^2+y^2-2x^2y^2+2xy \sqrt{1-x^2} \sqrt{1-y^2}\geq 0\]を得る.また,
    \begin{align*}
    &y\sqrt{1-x^2}+x\sqrt{1-y^2}\\
    =&~\left(\begin{array}{c} y \\ x \\ \end{array}\right)\cdot\left(\begin{array}{c} \sqrt{1-x^2} \\ \sqrt{1-y^2} \\ \end{array}\right)\\
    =&~\sqrt{x^2+y^2}\sqrt{1-x^2+1-y^2}\cos \theta\\
    =&~\sqrt{x^2+y^2}\sqrt{2-(x^2+y^2)}\cos \theta\\
    =&~\sqrt{2(x^2+y^2)-(x^2+y^2)^2}\cos \theta\\
    \end{align*}より
    \begin{align*}
    &-\sqrt{2(x^2+y^2)-(x^2+y^2)^2}\leq y\sqrt{1-x^2}+x\sqrt{1-y^2} \leq \sqrt{2(x^2+y^2)-(x^2+y^2)^2}\\
    \Longleftrightarrow&~\left|y\sqrt{1-x^2}+x\sqrt{1-y^2}\right|\leq\sqrt{2(x^2+y^2)-(x^2+y^2)^2}\\
    \Longleftrightarrow&~\left(y\sqrt{1-x^2}+x\sqrt{1-y^2}\right)^2\leq 2(x^2+y^2)-(x^2+y^2)^2
    \end{align*}
    ここで\(x^2+y^2=t\)とおくと,\(0\leq t \leq 2\)より
    \begin{align*}
    2t-t^2=-(t-1)^2+1\leq 1
    \end{align*}であるから\[\left(y\sqrt{1-x^2}+x\sqrt{1-y^2}\right)^2 \leq 1\]すなわち\[x^2+y^2-2x^2y^2+2xy \sqrt{1-x^2} \sqrt{1-y^2}\leq 1\]を得る.

    証明終

    昔こういった手法を「そんなものは受験テクニックだ!」と言ってやたら否定する人がいたけど高校数学や受験数学で「テクニック」と呼ばれるものが大学数学で再登場するということが少なくない気がする。(てか,それが元ネタ?)実際,上の\[a_1x_1+a_2x_2+\cdots+a_n x_n\]を\(1\)次結合といい,上でしたような変形は大学で学ぶ線型代数学ではよく見られるものです。

    © 2022 佐々木数学塾, All rights reserved.