解法と必然性 その2

前記事の証明は

証明
 
\(n=1\)のとき,\((3+i)^1=3+i\)は虚数.
\(n=2\)のとき,\((3+i)^2=18+26i\)より,実部と虚部を\(10\)で割った余りはそれぞれ\(8,6\)である.\((3+i)^n=\alpha+\beta i,~\alpha\equiv 8 \pmod{10},~\beta\equiv 6 \pmod{10}\)と仮定する.このとき,
\begin{align*}
(3+i)^{n+1}=&(3+i)(3+i)^n\\
=&(3+i)(\alpha+\beta i)\\
=&(3\alpha-\beta)+(\alpha+3\beta)i\\
\end{align*}ここで,
\begin{align*}
&3\alpha-\beta \equiv 3\cdot 8 -6=18\equiv 8\pmod{10}\\
&\alpha+3\beta \equiv 8 + 3\cdot 6=18\equiv 6\pmod{10}\\
\end{align*}
であるから,上の仮定のもとで\[(3+i)^{n+1}=\alpha^{\prime}+\beta^{\prime} i,~\alpha^{\prime}\equiv 8 \pmod{10},~\beta^{\prime}\equiv 6 \pmod{10}\]が成り立つ.したがってすべての\(n\in\{2,3,\cdots\}\)で\[(3+i)^n=\alpha+\beta i,~\alpha\equiv 8 \pmod{10},~\beta\equiv 6 \pmod{10}\]が成り立つ,よって\((3+i)^n\)は虚数となる.以上によりすべての\(n\in\mathbb{N}\)で\((3+i)^n\)は虚数となる.
 
証明終

となります。この解答の流れを図示すると,以下のようになります:


 
ここで「解法を覚える」ということはどういうことかを考えてみます。「解法を覚える」というと,上の図で示した解法を「パターン」として機械的に覚えるもの…と解釈する人は少なくないようです。しかし「パターン」として機械的に覚えるだけでは例えばなぜ冒頭でいきなり\(n=1\)と\(n=2\)をあのような形で別々に扱ったのか,なぜ\((3+i)^n=\alpha+\beta i,~\alpha\equiv 8 \pmod{10},~\beta\equiv 6 \pmod{10}\)と仮定しようと思いついたのか,その動機がまったく不明瞭なままです。実際の試験場では当然ながら自分にヒントを与えてくれる人はおらず頼りになるのは自分しかいないわけですから,その解法自体を思いつくためのきっかけ(必然性)こそが重要なはずです。

そこで改めて上の解答に至った経緯を見直してみます。「\(\alpha\equiv 8,\beta \equiv 6\)」と仮定したのは幾度かの試行錯誤の末得られたものでした。そしてそれにより「\(n=2\)のとき別個に調べる」必要が生じました。図示すれば,以下のようになります。


したがって,覚えるべきは流れは以下のようになります。

 

冒頭の図で示したような直線的な流れではなく,紆余曲折があり,そこから必然性が生まれる,ということです。覚えるのならば,この必然性を含めて覚える。数学における「覚える」とはこのような姿勢でなければなりません。

尚,このような「必然性」は,一般には解答・解説には載っていません。指導してれる人がいない限り,基本自分でそれを読み取らなければならない。だから数学の解答を読む際は「なぜ?」と問いかけながら,あたかも本と対話するように読むことが重要です。もし本の解答解説が必然性が感じられない,天下り的なものであれば,自分の手で発見的な解答に作り直す,くらいの気持ちをもつべきだと思います。

解法と必然性 その1

数学で得点できるようにするためにはどうしたらいいか?という悩みに対して,僕はどの生徒に対しても「まず解法を覚え,手数を増やすこと」と指示しています。「『解き方』を次々と覚えることが『数学』の学習といえるのか」という点においては疑問の余地がありますが,しかし現実問題として中高数学においては「限られた時間内に点数を取りきる」という使命が課せられていますから,結局のところこの姿勢は十分ではないにせよ確実に必要です。

「覚える」というと,例えば歴史の年号暗記や人物名の暗記のような固有名詞の力技の暗記が連想されますが,しかし数学における「覚える」というのは,そのような単純な作業ではなく,「なぜそうしようと思うのか?」という理解をも含めて覚える,ということを意味しています。

次の問題を例に考えてみます。

\(i\)を虚数単位とする.以下の問いに答えよ.
 
\((1)\quad\)\(n=2,3,4,5\)のとき\((3+i)^n\)を求めよ.またそれらの虚部の整数を\(10\)で割った余りを求めよ.

\((2)\quad\)\(n\)を正の整数とするとき\((3+i)^n\)は虚数であることを示せ.
 

(神戸大)

\((1)\)は計算するだけです。

\begin{align*}
&(3+i)^2=8+6i\\
&(3+i)^3=(3+i)(8+6i)=18+26i\\
&(3+i)^4=(3+i)(18+26i)=28+96i\\
&(3+i)^5=(3+i)(28+96i)=-12+316i\\
\end{align*}
虚部を\(10\)で割った余りはすべて\(6\)

問題は\((2)\)です。これは「すべての\(n\)で」ということなので,まず数学的帰納法であろうと思いつきます。いつも通りやってみます。

\(n=1\)のとき,\((3+i)^1=3+i\)であるから主張は正しい.\(n\)のとき主張が正しい,すなわち\((3+i)^n\)が虚数であると仮定する.

このとき,\((3+i)^{n+1}\)が虚数であることが示せればめでたしめでたし…なのですが上のような‘日本語による’仮定では計算ができず議論が進まないので,‘数式で’仮定しなおすことにします:

\(n\)のとき主張が正しい,すなわち\((3+i)^n=\alpha+\beta i\quad(\beta\neq 0)\)と仮定する.このとき,
\begin{align*}
(3+i)^{n+1}=&(3+i)(3+i)^n\\
=&(3+i)(\alpha+\beta i)\\
=&(3\alpha-\beta)+(\alpha+3\beta)i\\
\end{align*}

あとは\(\alpha+3\beta\)が\(0\)でないことが言えればいいのですが,しかし,手元の過程は\(\beta\neq 0\)のみであり,これだけでは\(\alpha+3\beta\)が\(0\)でないことは到底言えそうにありません。ここで,思わせぶりだった\((1)\)の結果:「\((3+i)^n~(n\in \{2,3,4,5\})\)の虚部を\(10\)で割った余りはすべて\(6\)」から,「\(\beta\neq 0\)」ではなく「\(\beta\)を\(10\)で割った余りが\(6\)である」と仮定すればよいのでは?と思いつきます(実際,\(\beta\equiv 6 \pmod{10}\)が言えれば,当然\(\beta \neq 0\)です):

\((3+i)^n=\alpha+\beta i,~\beta\equiv 6 \pmod{10}\)と仮定する.このとき,
\begin{align*}
(3+i)^{n+1}=&(3+i)(3+i)^n\\
=&(3+i)(\alpha+\beta i)\\
=&(3\alpha-\beta)+(\alpha+3\beta)i\\
\end{align*}

しかし,虚部は\(\alpha+3\beta\)であり,相変わらず手元には\(\alpha\)についての仮定は何もありませんから,上のように仮定したところでやはり\(\alpha+3\beta\neq 0\)は言えません。\(\alpha\)について何か欲しい。うーん。。。そこで,再び\((1)\)を眺めます。実部に着目すると,こちらは「\(10\)で割った余りが\(8\)」であることが予想されます。おっと,じゃあ仮定を強めて\(\alpha \equiv 8\pmod{10},~\beta\equiv 6\pmod{10}\)と仮定すればいいのでは?と思いつきます。すると…

\((3+i)^n=\alpha+\beta i,~\alpha\equiv 8 \pmod{10},~\beta\equiv 6 \pmod{10}\)と仮定する.このとき,
\begin{align*}
(3+i)^{n+1}=&(3+i)(3+i)^n\\
=&(3+i)(\alpha+\beta i)\\
=&(3\alpha-\beta)+(\alpha+3\beta)i\\
\end{align*}ここで,
\begin{align*}
&3\alpha-\beta \equiv 3\cdot 8 -6=18\equiv 8\pmod{10}\\
&\alpha+3\beta \equiv 8 + 3\cdot 6=18\equiv 6\pmod{10}\\
\end{align*}
であるから,上の仮定のもとで\[(3+i)^{n+1}=\alpha^{\prime}+\beta^{\prime} i,~\alpha^{\prime}\equiv 8 \pmod{10},~\beta^{\prime}\equiv 6 \pmod{10}\]が成り立つ.

うまくいきました。これで証明終わり!といきたいところですが,仮定を強めたので,数学的帰納法の‘連鎖反応のスイッチ’,つまり\(n=1\)の調査をやり直さなければなりません。しかし\((3+i)^1=3+i\)で実部も虚部も\(\mod{10}\)で\(8,6\)ではありません。そこで\(n=2\)のときを‘連鎖反応のスイッチ’にすることにします(\((1)\)で記述していますが):

\(n=2\)のとき,\((3+i)^2=18+26i\)より,実部と虚部を\(10\)で割った余りはそれぞれ\(8,6\)である.

\(n=1\)は別枠で示しておけばいいでしょう。これで証明が完成しました。(つづく)

絶対値を含む方程式(応用)

\(a\)を\(-1\)より大きい定数とする.\[a(|x|-a)+x+1<0\]を解け. (駿台模試,一部抜粋)

解答

\begin{align*}
&a(|x|-a)+x+1<0 \land a>-1\\
\Longleftrightarrow~&a(|x|-a)+x+1<0 \land a>-1 \land (x \geq 0 \lor x <0)\\ \Longleftrightarrow~&(a(x-a)+x+1<0 \land a>-1 \land x \geq 0)\\
&\lor (a(-x-a)+x+1 < 0 \land a>-1 \land x < 0)\\ \Longleftrightarrow~&((a+1)x < a^2-1 \land a+1>0 \land x \geq 0)\\
&\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0)\\ \Longleftrightarrow~&(x < a-1 \land a+1>0 \land x \geq 0) \\
&\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0)\\ \Longleftrightarrow~&((x < a-1 \land a+1>0 \land x \geq 0)\land(a-1\leq 0 \lor a-1 >0)) \\
&\lor (((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0)\land (1-a>0\lor 1-a=0 \lor 1-a <0))\\ \Longleftrightarrow~&(x < a-1 \land a+1>0 \land x \geq 0 \land a-1\leq 0) \\
&\lor(x < a-1 \land a+1>0 \land x \geq 0 \land a-1 >0) \\
&\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0 \land 1-a>0)\\
&\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0 \land 1-a=0)\\ &\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0 \land 1-a <0)\\ \Longleftrightarrow~&(x < a-1 \land x \geq 0 \land -1 < a \leq 1) \\ &\lor(x < a-1 \land a > -1 \land x \geq 0 \land a >1) \\
&\lor (x < -a-1 \land x < 0 \land -1 < a < 1)\\ &\lor (0x < 0 \land a > -1 \land x < 0 \land a=1)\\ &\lor (x > -a-1 \land a > -1 \land x < 0 \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~&\bot\\ &\lor(x < a-1 \land x \geq 0 \land a >1) \\
&\lor (x < -a-1 \land x < 0 \land -1 < a < 1)\\ &\lor \bot\\ &\lor (x > -a-1 \land x < 0 \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~&(x < a-1 \land x \geq 0 \land a >1) \\
&\lor (x < -a-1 \land x < 0 \land -1 < a < 1)\\ &\lor (x > -a-1 \land x < 0 \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~& (x < -a-1 \land -1 < a < 1)\\ &\lor(x < a-1 \land x \geq 0 \land a >1) \\
&\lor (x > -a-1 \land x < 0 \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~& (x < -a-1 \land -1 < a < 1)\\ &\lor (((x < a-1 \land x \geq 0) \lor (x > -a-1 \land x < 0 )) \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~& (x < -a-1 \land -1 < a < 1)\\ &\lor ((0 \leq x < a-1 \lor -a-1< x < 0 ) \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~& (x < -a-1 \land -1 < a < 1)\lor (-a-1< x < a-1 \land 1 < a ) \end{align*} 解答終

ベクトルの便利公式

\(\triangle{\mathrm{ABC}}\)において,\(\triangle{\mathrm{PBC}}:\triangle{\mathrm{PCA}}:\triangle{\mathrm{PAB}}=a:b:c~\)のとき,\[\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\frac{1}{a+b+c}(b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}})\]

 

 

証明

直線\(\mathrm{AP}\)と辺\(\mathrm{BC}\)との交点を\(\mathrm{D}\)とおくと,\(\triangle{\mathrm{PCA}}:\triangle{\mathrm{PAB}}=b:c\)より\(\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=c:b\)であるから,内分の公式により\[\overrightarrow{\mathrm{AD}}=\frac{b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}}}{c+b}\]
また,凹四角形\(\mathrm{ABPC}\)と\(\triangle{\mathrm{PBC}}\)の面積比が\(b+c:a\)であることから\(\mathrm{AP}:\mathrm{PD}=b+c:a\)だから\[\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\frac{b+c}{a+b+c}\overrightarrow{\mathrm{AD}}\]
この\(2\)式により
\begin{align*}
\overrightarrow{\mathrm{AP}}=&\frac{b+c}{a+b+c}\overrightarrow{\mathrm{AD}}\\
=&\frac{b+c}{a+b+c}\frac{1}{b+c}(b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}})\\
=&\frac{1}{a+b+c}(b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}})
\end{align*}

証明終

幾何の問題でおなじみ「底辺が等しければ面積比=高さの比」を利用します。この公式は例のあの問題で役立ちます:

\(\Delta \mathrm{OAB}\)において,辺\(\mathrm{OA}\)の中点を\(\mathrm{C}\),辺\(\mathrm{OB}\)を\(2:1\)に内分する点を\(\mathrm{D}\)とし,線分\(\mathrm{AD}\)と線分\(\mathrm{BC}\)の交点を\(\mathrm{P}\)とする.\(\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\overrightarrow{a},\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\overrightarrow{b}\)とするとき,\(\overrightarrow{\mathrm{OP}}\)を\(\overrightarrow{a},\overrightarrow{b}\)を用いて表せ.

解答

\(\mathrm{OC:CA}=1:1\)であるから,\(\triangle{\mathrm{PBO}}:\triangle{\mathrm{PBA}}=1:1\)
また,\(\mathrm{OD:DB}=2:1\)であるから,\(\triangle{\mathrm{PAO}}:\triangle{\mathrm{PAB}}=2:1\)
よって,\(\triangle{\mathrm{PAO}}:\triangle{\mathrm{PAB}}:\triangle{\mathrm{PBO}}=2:1:1\)
上の公式により,
\begin{align*}
\overrightarrow{\mathrm{OP}}=&\frac{1}{2+1+1}(1\overrightarrow{\mathrm{OA}}+2\overrightarrow{\mathrm{OB}})\\
=&\frac{1}{4}\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\frac{1}{2}\overrightarrow{\mathrm{OB}}
\end{align*}

解答終

というように早くて楽…なんですが,しかしこれは教科書に載っていないため,試験で使ってよいかというと微妙なところだと思います。(証明を含めてかけばもちろん問題はないけど,それだと時間がかかり本末転倒)

なので,検算に用いるとよいと思います。

2次の不定方程式(つづき2)

\begin{align*}
&2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0 \land x,y\in\mathbb{Z}\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z}\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \in \{0,1,2,\cdots\}[25y^2-50y+49=k^2]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \in \{0,1,2,\cdots\}[(5y-k-5)(5y+k-5)=-24]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \in \{0,1,2,\cdots\}\left[\begin{cases}5y-k-5=-2\\5y+k-5=12 \end{cases} \lor \begin{cases}5y-k-5=-4\\5y+k-5=6\end{cases}\right.\\
&\lor \left. \begin{cases}5y-k-5=-6\\5y+k-5=4\end{cases} \lor \begin{cases}5y-k-5=-12\\5y+k-5=2\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \left[\begin{cases}5y-k-5=-2\\5y+k-5=12\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \lor \begin{cases}5y-k-5=-4\\5y+k-5=6 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases}\right.\\
&\lor \left. \begin{cases}5y-k-5=-6\\5y+k-5=4 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \lor \begin{cases}5y-k-5=-12\\5y+k-5=2 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \left[\begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \lor \begin{cases}y=\frac{6}{5}\\k=5 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases}\right.\\
&\lor \left. \begin{cases}y=\frac{4}{5}\\k=5 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \lor \begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \left[\begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \lor \begin{cases}y=\frac{6}{5}\\k=5 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases}\right.\\
&\lor \left. \begin{cases}y=\frac{4}{5}\\k=5 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \lor \begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \left[\begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \lor \begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \\
&\land \left( \exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \lor \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \right)\\
\Longleftrightarrow~&\left( x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \land \exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases}\right)\\
&\lor \left( x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \land \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \right)\\
\Longleftrightarrow~&\exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4}\end{cases} \lor \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4}\end{cases}\\
\Longleftrightarrow~&\exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=\frac{-3\pm 7}{4}\end{cases} \lor \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=\frac{3 \pm 7}{4}\end{cases}\\
\Longleftrightarrow~&\exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=1\end{cases} \lor \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=-1\end{cases}\\
\Longleftrightarrow~&\left(\begin{cases}(x,y)=(1,2)\\x,y\in \mathbb{Z}\end{cases} \land \exists k \begin{cases}k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases}\right) \\
&\lor \left(\begin{cases} (x,y)=(-1,0)\\\\x,y\in \mathbb{Z}\end{cases} \land \exists k\begin{cases}k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases}\right)\\
\Longleftrightarrow~&\begin{cases}(x,y)=(1,2)\\x,y\in \mathbb{Z}\end{cases} \lor \begin{cases} (x,y)=(-1,0)\\x,y\in \mathbb{Z}\end{cases}\\
\Longleftrightarrow~&(x,y)=(1,2) \lor (x,y)=(-1,0)
\end{align*}

2次の不定方程式(つづき1)

次の方程式を満たす整数\(x,y\)の値を求めよ.

    1. \(2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\)
    2. \(x^2-4xy+5y^2+2x-5y-1=0\)
  • 前回記事(上の問題)の1. \[2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\]を因数分解せずに解くとどうなるかを見てみます。前と同様,
    \begin{align*}
    &2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4}
    \end{align*}と変形し,ここから必要条件として\[25y^2-50y+49\geq 0\]が得られますが,しかしこれは何の旨味もないものです。なぜならこの式を満たす\(y\in \mathbb{Z}\)は無数にあり,\(y\)が絞れないからです。そこで必要条件として別のものをとり出してみます。

    別解

    \begin{align*}
    &2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4}
    \end{align*}\(x\)は整数であるから\[25y^2-50y+49=k^2\quad(k=0,1,2,\cdots)\]と表せることが必要.ここで
    \begin{align*}
    &25y^2-50y+49=k^2\\
    \Longleftrightarrow~&25(y^2-2y+1-1)-k^2+49=0\\
    \Longleftrightarrow~&25(y-1)^2-k^2=-24\\
    \Longleftrightarrow~&(5(y-1)-k)(5(y-1)+k)=-24\\
    \Longleftrightarrow~&(5y-k-5)(5y+k-5)=-24(=-2^3\times 3)
    \end{align*}
    また,\((5y-k-5)+(5y+k-5)=2(5y-3)(=\text{偶数})\)であることから\(5y-k-5\)と\(5y+k-5\)の偶奇は一致すること,そして\(5y-k-5<5y+k-5\)であることから,\((5y-k-5,5y+k-5)\)の組み合わせは\[(-2^1,2^2\cdot 3),(-2^2,2^1\cdot 3),(-2^1\cdot 3,2^2),(-2^2\cdot 3,2^1)\]の\(4\)通りであることが分かる.これより\(y=2,\frac{6}{5},\frac{4}{5},0\)が得られ,\(y\)は整数だから\(y=0,2\)で\(x=-1,1\).したがって求める答えは\((x,y)=(-1,0),(1,2)\)である.

    別解終

    途中,必要条件なのに逆の考察をしていないのはやはり同値だからです。論理式で記述すると(つづく)

    2次の不定方程式

    次の方程式を満たす整数\(x,y\)の値を求めよ.

    1. \(2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\)
    2. \(x^2-4xy+5y^2+2x-5y-1=0\)
  • 1.
    整数問題の大まかなタイプとしては,

    因数分解,範囲を絞ってしらみつぶし,合同式の利用(余りで分類)

    というのは有名ですが,このうち一つ目の因数分解を狙うというのは自然な発想かと思います。

    (因数分解の方針その1)
    \begin{align*}
    &2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2x^2+3(y-1)x-2y^2+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2x^2+3(y-1)x-2(y^2-2y+1-1)-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2x^2+3(y-1)x-2(y-1)^2-3=0\\
    \Longleftrightarrow~&(2x-y+1)(x+2y-2)=3
    \end{align*}

    3行目の変形がちょっと苦しい…?^^;

    (因数分解の方針その2)
    \begin{align*}
    &2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2x^2+3(y-1)x-2y^2+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2\left(x^2+\frac{3(y-1)}{2}x+\frac{9(y-1)^2}{16}-\frac{9(y-1)^2}{16}\right)-2y^2+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2\left(x+\frac{3(y-1)}{4}\right)^2-\frac{9(y-1)^2}{8}-2y^2+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&(4x+3(y-1))^2-9(y-1)^2-16y^2+32y-40=0\\
    \Longleftrightarrow~&(4x+3(y-1))^2-25y^2+50y-49=0\\
    \Longleftrightarrow~&(4x+3(y-1))^2-25(y^2-2y+1-1)-49=0\\
    \Longleftrightarrow~&(4x+3(y-1))^2-25(y-1)^2=24\\
    \Longleftrightarrow~&(4x-2y+2)(4x+8y-8)=24\\
    \Longleftrightarrow~&(2x-y+1)(x+2y-2)=3
    \end{align*}平方完成で強引に。

    (因数分解の方針その3)
    \(2x^2+3xy-2y^2=(2x-y)(x+2y)\)に着目し,\((2x-y+a)(x+2y+b)\)という式の展開式を考えます。すると\[(2x-y+a)(x+2y+b)=2x^2+3xy-2y^2+Ax+By+C\]という与式の形が現れますから,\(A=-3,B=4\)を解いて,\(a,b\)を求めます(これを\(a_0,b_0\)とします。これにより\(C=C_0\)も求まる):\[(2x-y+a_0)(x+2y+b_0)=2x^2+3xy-2y^2-3x+4y+C_0\]与式より\(2x^2+3xy-2y^2-3x+4y=5\)でしたから
    \begin{align*}
    &(2x-y+a_0)(x+2y+b_0)=2x^2+3xy-2y^2-3x+4y+C_0\\
    \Longleftrightarrow&~(2x-y+a_0)(x+2y+b_0)=5+C_0
    \end{align*}を得ます。以上を実際行うと,
    \[(2x-y+1)(x+2y-2)=2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-2=5-2=3\]となります。

    …ともあれ因数分解できました。あとは右辺の因数の組み合わせが\((1,3),(-1,-3),(3,1),(-3,-1)\)のみであることから\((x,y)=(1,2),(-1,0)\)を得ます。

    2.
    これも因数分解…と思いきや,1.のようにうまく因数分解できない。お手上げか…?
    そこで姿勢を変えて論理で攻めてみます

    解答
    \begin{align*}
    &x^2-4xy+5y^2+2x-5y-1=0\\
    \Longleftrightarrow~&x^2-2(2y-1)x+5y^2-5y-1=0\\
    \Longleftrightarrow~&x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2}
    \end{align*}これが整数解をもつならば,\(-y^2+y+2\geq 0\)であることが必要
    \begin{align*}
    &-y^2+y+2\geq 0\\
    \Longleftrightarrow~&y^2-y-2\leq 0\\
    \Longleftrightarrow~&(y-2)(y+1)\leq 0\\
    \Longleftrightarrow~&-1 \leq y\leq 2
    \end{align*}

    \(y\)は整数であるから,\(y=-1,0,1,2\)
    \(y=-1\)のとき\(x=-3\),
    \(y=0\)のとき\(x=-1\pm \sqrt{2}\),
    \(y=1\)のとき\(x=1\pm \sqrt{2}\),
    \(y=2\)のとき\(x=3\),

    ゆえに\((x,y)=(-1,-3),(2,3)\)が求めるものである.

    解答終

    必要条件なのに逆の考察をしていないのは同値だからです。論理式で記述すると
    \begin{align*}
    &x,y\in \mathbb{Z},x^2-4xy+5y^2+2x-5y-1=0\\
    \Longleftrightarrow~&x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2}\\
    \Longleftrightarrow~& x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land -y^2+y+2\geq 0\\
    \Longleftrightarrow~& x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land -1\leq y \leq 2\\
    \Longleftrightarrow~& x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2}\\
    &\land (y=-1 \lor y=0 \lor y=1 \lor y=2)\\
    \Longleftrightarrow~& \left(x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land y=-1\right)\\
    \lor & \left(x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land y=0\right)\\
    \lor & \left(x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land y=1\right)\\
    \lor & \left(x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land y=2\right)\\
    \Longleftrightarrow~& (x,y\in \mathbb{Z} \land x=-3 \land y=-1)\\
    \lor & (x,y\in \mathbb{Z} \land x=-1\pm \sqrt{2} \land y=0)\\
    \lor & (x,y\in \mathbb{Z} \land x=1\pm\sqrt{2} \land y=1)\\
    \lor & (x,y\in \mathbb{Z} \land x=3 \land y=2)\\
    \Longleftrightarrow~&(x,y\in \mathbb{Z} \land x=-3 \land y=-1)\lor (x,y\in \mathbb{Z} \land x=3 \land y=2)\\
    \Longleftrightarrow~&x,y\in \mathbb{Z} \land (( x=-3 \land y=-1)\lor (x=3 \land y=2))\\
    \Longleftrightarrow~&( x=-3 \land y=-1)\lor (x=3 \land y=2)
    \end{align*}ということをしています。ちなみに,\(1.,2.\)それぞれを図示すると\(1.\)は双曲線,\(2.\)は楕円になります。

     

    「すべての」と言われたら(数値代入法)

    前記事の「とびとびの\(x\)で成り立つ」と「すべての\(x\)で成り立つ」との関係を考えなくてはならない例として,次のようなものがあります。

    \[\frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\]が\(x\)についての恒等式となるように定数\(a,b,c,d\)の値を定めよ.

    教科書レベルのよく見る問題です。係数比較法で考えるのが一般的だと思いますがここでは数値代入法で見てみます。
    \begin{align*}
    &\frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\text{が恒等式}\\
    \Longleftrightarrow~&\forall x \left[\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\longrightarrow \frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\right]\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\Longrightarrow \frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\Longrightarrow 2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\\
    \end{align*}分母を払って得られた式を見るとこれはぜひ\(0\)と\(2\)を代入したい。しかし,上にあるように式\(2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\)が成り立つことが保証されているのはあくまで\(0\)と\(2\)でない\(x\)に対してであり,\(x\)が\(0\)と\(2\)のときにつにいては一切言及されていません。なので\(x=0\)と\(x=2\)を代入するわけにはいかない。

    しかし,\(0\)と\(2\)以外の\(x\)は無限個あるので,当然相異なる\(4\)個の\(x\)でも\(3\)次式\(2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\)は成り立ちます。したがって前記事の定理により,\(2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\)はすべての\(x\)で成り立つ,すなわち恒等式であると言えます:
    \begin{align*}
    &\frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\text{が恒等式}\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\Longrightarrow \frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\Longrightarrow 2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\\
    \overset{\text{定理}}{\Longleftrightarrow}~&\forall x\in \mathbb{R}[2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx]
    \end{align*}
    これで安心して\(x\)に\(0\)と\(2\)が代入できます。あとは式が簡単になる\(1,3\)あたりを代入すればいいと思います。(逆の考察を忘れずに!)

    「すべての」と言われたら(つづき)

    先の記事のアプローチは
    \begin{align*}
    &\forall l,m,n \in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
    \Longleftrightarrow~&\forall l,m,n \in \mathbb{Z}[(10^{x-y}+10^{y-z})l+10^{x-z}m+(-x)n=13l+36m+yn]\\
    \overset{(\ast)}{\Longleftrightarrow}~&\begin{cases}10^{x-y}+10^{y-z}=13\\10^{x-z}=36\\-x=y\end{cases}\\
    \Longleftrightarrow~&\cdots\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
    \lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
    \end{align*}というものでした。しかしここで気になるのは\((\ast)\)です。係数比較法を思い出すと,
    \begin{align*}
    &f(x)=a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_2x^2+a_1x+a_0\\
    &g(x)=b_nx^n+b_{n-1}x^{n-1}+\cdots+b_2x^2+b_1x+b_0
    \end{align*}とすれば

    \begin{align*}
    &f(x)=g(x)\text{が恒等式}\left(\overset{\text{def}}{\Longleftrightarrow}~\forall x\in \mathbb{R} [f(x)=g(x)]\right)\\
    \Longleftrightarrow~&a_n=b_n,a_{n-1}=b_{n-1},\cdots,a_2=b_2,a_1=b_1,a_0=b_0
    \end{align*}

    というものでしたが,すべての実数\(l,m,n\)(\(\forall l,m,n \in \mathbb{R}\))ではなく,\(\forall l,m,n\in\mathbb{Z}\)すなわち’とびとび’の\(l,m,n\)で成り立つときも,やはり同じように係数が等しいと結論できるのでしょうか。ここに不安が残ります。

    この問題を解決するために,次の定理を証明します。

    \(f(x),g(x)\)を\(n\)次以下の整式とする.
    \begin{align*}
    &f(x)=g(x)\text{が恒等式} \\
    \Longleftrightarrow~&f(x)=g(x)\text{が相異なる\(n+1\)個の解をもつ}
    \end{align*}

    証明

    \(\Rightarrow\)は明らかであるから,\(\Leftarrow\)を示す.
    \(n+1\)個の相異なる解を\(x_1,x_2,\cdots,x_{n+1}\)とする.仮定により
    \begin{align*}
    &f(x_1)=g(x_1),f(x_2)=g(x_2),\cdots,f(x_{n+1})=g(x_{n+1})\\
    \Longleftrightarrow~&f(x_1)-g(x_1)=0,f(x_2)-g(x_2)=0,\cdots,f(x_{n+1})-g(x_{n+1})=0
    \end{align*}であるから\[f(x)-g(x)=(x-x_1)(x-x_2)\cdots(x-x_{n+1})Q(x)\]とかける(因数定理).ここで\(Q(x)\neq 0\)と仮定すると\(f(x)-g(x)\)は\(n+1\)次式となり矛盾する.したがって\(Q(x)=0\).ゆえに\[f(x)=(x-x_1)(x-x_2)\cdots(x-x_{n+1})\cdot 0+g(x)\]より\(\forall x\in\mathbb{R}[f(x)=g(x)]\)を得る.

    証明終

    この定理によって,\[\forall l,m,n \in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\]は,例えば\(l\)に着目して\(l\)の1次の整式と見なせばこの式は2個以上の\(l\)について成り立ちますから(整数は無限個),上の定理によりすべての\(l\in \mathbb{R}\)で成り立つ,と言えます。\(m,n\)についても同様に考えれば,結局すべての\(l,m,n\in \mathbb{R}\)で成り立つ,すなわち
    \begin{align*}
    &\forall l,m,n \in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
    \Longleftrightarrow~&\forall l,m,n \in \mathbb{R}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]
    \end{align*}であることが分かります。これで上の\((\ast)\)が正しいことが確かめられました。

    …と,結果的には正しかったのですが,厳密には上の議論をしなくてはならないので,やはり前回記事最初の解答の方が無難だと個人的に思います。

    「すべての」と言われたら

    実数の組\((x,y,z)\)で,どのような整数\(l,m,n\)に対しても,等式\[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny\]が成り立つようなものをすべて求めよ.

    (大阪大)


    もし日常で上のようなやりとりがあればWさんはちょっとアレなひとと評されますが,数学の問題を考える上ではWさんの姿勢の方が正しい。「なんでも」といった以上,例外は許されないからです。

    そこでWさんと同じ姿勢で,「すべての」「任意の」と言われたのでその言葉を逆手にとり自分にとって都合の良い\(l,m,n\)を代入してやろう,と考えます。うまく文字が減ってくれそうなのは\(0\)ですから,これの代入を考えます。しかし\(l,m,n\)すべてに\(0\)と代入しても\(0=0\)という正しくも旨味のない式しか得られませんから,\(l,m,n\)のうち\(2\)つを\(0\),他を(簡単な)\(1\)と代入してみることにします。

    \((l,m,n)=(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)\)と代入すると,\[\begin{cases}10^{x-y}+10^{y-z}=13\\10^{x-z}=36\\-x=y\end{cases}\]が得られるので,これを解いてみます。

    \begin{align*}
    &\begin{cases}10^{x-y}+10^{y-z}=13\\10^{x-z}=36\\-x=y\end{cases}\\
    \Longleftrightarrow&\begin{cases}10^{x-y}+10^{y-z}=13\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}
    \Longleftrightarrow\begin{cases}10^{2x}+10^{-2x+\log_{10}36}=13\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}\\
    \Longleftrightarrow&\begin{cases}(10^{2x})^2-13\cdot10^{2x}+36=0\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}
    \Longleftrightarrow\begin{cases}(10^{2x}-9)(10^{2x}-4)=0\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}\\
    \Longleftrightarrow&\begin{cases}10^{2x}=9 \lor 10^{2x}=4\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}
    \Longleftrightarrow\begin{cases}x=\log_{10}3 \lor x=\log_{10}2\\z=x-\log_{10}36\\y=-x\end{cases}\\
    \Longleftrightarrow&\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
    \lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
    \end{align*}
    よって\((x,y,z)=(\log_{10}3,-\log_{10}3,\log_{10}3-\log_{10}36)\)または\((\log_{10}2,-\log_{10}2,\log_{10}2-\log_{10}36)\)と求まります。

    しかしこれをもって答えとしてはいけません。なぜならここで得られた結論は必要条件にしか過ぎず,十分条件であるとは限らないからです。つまり
    \begin{align*}
    &\forall l,m,n\in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
    &\Longrightarrow\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
    \lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
    \end{align*}
    ですが
    \begin{align*}
    &\forall l,m,n\in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
    &\Longleftarrow\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
    \lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
    \end{align*}
    とは限らない,ということです。なので逆(\(\Leftarrow\))を調べる必要があります:

    \((x,y,z)=(\log_{10}3,-\log_{10}3,\log_{10}3-\log_{10}36)\)のとき
    式\[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny\]にこれらを代入すると\[13l+36m+(-\log_{10}3)n=13l+36m+(-\log_{10}3)n\]となり,これは明らかにすべての\(l,m,n\in\mathbb{Z}\)で成り立つ。

    \((x,y,z)=(\log_{10}2,-\log_{10}2,\log_{10}2-\log_{10}36)\)のとき
    上と同様にこれらを代入すると\[13l+36m+(-\log_{10}2)n=13l+36m+(-\log_{10}2)n\]が得られ,やはりすべての\(l,m,n\in\mathbb{Z}\)で成り立つ。

    これで逆も言えました。すなわち
    \begin{align*}
    &\forall l,m,n\in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
    &\Longleftrightarrow\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
    \lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
    \end{align*}であることが分かり,今度は自信をもって\((x,y,z)=(\log_{10}3,-\log_{10}3,\log_{10}3-\log_{10}36)\)または\((\log_{10}2,-\log_{10}2,\log_{10}2-\log_{10}36)\)が答えであるといえます。

    追記

    次のような解法はどうでしょうか。

    \(l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny\)の左辺を\(l,m,n\)で整理して係数を比較してはどうか?

     
    すなわち,
    \begin{align*}
    &\forall x \in \mathbb{Z}[l\cdot10^{x-y}-nx+l\cdot10^{y-z}+m\cdot10^{x-z}=13l+36m+ny]\\
    \Longleftrightarrow~&\forall x \in \mathbb{Z}[(10^{x-y}+10^{y-z})l+10^{x-z}m+(-x)n=13l+36m+yn]\\
    \overset{(\ast)}{\Longleftrightarrow}~&\begin{cases}10^{x-y}+10^{y-z}=13\\10^{x-z}=36\\-x=y\end{cases}\\
    \Longleftrightarrow~&\cdots\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x=\log_{10}3\\y=-\log_{10}3\\z=\log_{10}3-\log_{10}36\end{cases}
    \lor\begin{cases}x=\log_{10}2\\y=-\log_{10}2\\z=\log_{10}2-\log_{10}36\end{cases}
    \end{align*}
    です。得られる3つの式は同じなので一見正しそうです。このアプローチについて詳しく見てみます。(つづく)

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