問題演習

数学の演習問題って,大別すると,

  1. 既知の問題.解くのに必要な知識は揃っており,出題形式が多少違えどほとんど手が止まることのない問題.万が一解けなかったとしても,解答を見れば一目でその内容が理解できる問題.
  2. 未知の問題.解くのに必要な知識は揃っておらず,したがって解法を見つけるのに多くの時間を要する問題.ときに知識自体がないがゆえに解けない問題.解答を見てもその理解に時間を要する問題.

の2種類あると思う.それぞれの特徴をあげると,

(1.の長所)
・既に持っている知識がアウトプットされるため知識が実用レベルで定着する
・解いていて手が止まることがないのでストレスがない
・解けるので気分が高揚する.自己肯定感が湧く

(2.の長所)
・未知の知識が蓄積されることになるので,その知識をモノにできれば,確実に成長したことになる.
・既存の知識の範囲中で解決を図ることは,既存知識の運用法を学ぶことになる(俗にいう「思考力」).またその過程で既存知識の新たな側面を発見することがある.
・解けたら嬉しい

一方で,それぞれの演習における短所を挙げてみると,

(1.の短所)
・出来る(知っている)問題をいくらやっても実質的な成長にはならない
・とりあえず疲れはするので,それだけで満足(自己満足)になりがち

(2.の短所)
・とにかく時間がかかる
・基本的に解けないので,気持ちが萎える
・量がこなせないので,成長しているかどうか微妙

以上を鑑みると,この両者の勉強はバランスよく交えて学習していくことが望ましいと思う.ここで確実に言えるのは,

  • 勉強のし始めは1.レベルの演習から入った方がいい.なぜならとりあえず手が動くから自然と気持ちが前向きになる.
  • 1.のレベルの問題で満足せず,たとえ一問でもいいから,2.レベルの問題も毎日必ず触れる.

とくにひとつ目,「手が動かす」っていうのは精神衛生上非常に重要で,例えば一日の勉強を「悩む」こと(難しい問題)から始めると,気持ちは暗くなるし時間はダラダラ過ぎるしで僕の経験上からみてもあまりいいことがない.手も体の一部である以上,手を動かす=体を動かすということだから,手を動かす勉強から始めることは自然と精神が前向きになるなにかがあるようです.数学に限らず,例えば英語なら,英文や英単語帳を音読したりするのも有効です.

この過程で気分も高揚し,運動後のような一種の心地よい疲労感・達成感に満たされますが,ここで満足してはいけません.調子がついてきたところで,2.レベルの問題にも触り,頭に負荷をかけておいたり,新規知識を獲得したりすることもまた成長のためには不可欠です.

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