図示して証明?

授業で取り扱っていてふと気になった問題。

\(x,y\)は実数とする。
\((1)\quad\)\(x^2+y^2+2x<3\)ならば\(x^2+y^2-2x<15\)であることを証明せよ。
\((2)\quad\)\(x^2+y^2\leq 5\)が\(2x+y\geq k\)の十分条件となる定数\(k\)の値の範囲を求めよ。

(青チャート)

解答では

\[P=\{(x,y)|x^2+y^2+2x<3\},Q=\{(x,y)|x^2+y^2-2x<15\}\]とすると,「\(p\Rightarrow q\)が真である」\(\Leftrightarrow P\subset Q\)であるから,\(P,Q\)を図示することにより,楽に証明できる。

 
\(P\subset Q\)であることを図示することで証明していて,確かに楽かつ直観的で分かりやすいけど,しかし\((2)\)のような求値問題ならまだしも\((1)\)のような「証明」において「絵」を根拠にしていいのかという違和感があります。ということでお絵かきに頼らない証明を考えてみます。

(1)

仮定により
\begin{align*}
&x^2+y^2+2x<3\\
\Longleftrightarrow~& x^2+y^2<3-2x \land (x+1)^2+y^2<4 \\
\Longleftrightarrow~& x^2+y^2<3-2x \land (x+1)^2<4\\
\Longleftrightarrow~& x^2+y^2<3-2x \land -3 < x < 1
\end{align*}であるから,

\[x^2+y^2-2x < (3-2x)-2x = 3-4x < 15\]

証明終

(2)
\[x^2+y^2\leq 5 \Longrightarrow2 x+y\geq k\]であるような\(k\)を調べる.\(2x+y\)の値域を\(\mathcal{R}\)とおく.
\begin{align*}
&2x+y \in \mathcal{R}\\
\Longleftrightarrow~&\exists x,y[2x+y=m \land x^2+y^2\leq 5]\\
\Longleftrightarrow~&\exists x[x^2+(m-2x)^2\leq 5]\\
\Longleftrightarrow~&\exists x[5x^2-4mx+m^2-5\leq 0]\\
\Longleftrightarrow~&4m^2-5(m^2-5)\geq 0\\
\Longleftrightarrow~&m^2-25\leq 0\\
\Longleftrightarrow~&-5 \leq m \leq 5
\end{align*}

したがって\(k\leq -5\)であれば,\[x^2+y^2\leq 5 \Longrightarrow2 x+y\geq k\]が言える.

解答終

というか,解答で(\(P=\{(x,y)|p(x,y)\},Q=\{(x,y)|q(x,y)\}\)として)\[(p(x,y)\Rightarrow q(x,y))\Longleftrightarrow P\subset Q\]だから\(P \subset Q\)を言えばよい,と言っているけど,しかしそもそも\(P \subset Q\)の定義は
\begin{align*}
&P \subset Q\\
\overset{\text{def}}{\Longleftrightarrow}&~((x,y)\in P \Rightarrow (x,y)\in Q)\\
\Longleftrightarrow&~(p(x,y)\Rightarrow q(x,y))
\end{align*}
であったから,本来の意味で(定義に従って)この\(P \subset Q\)を示そうとすると循環論法になると思う。それを「図示」でかわすってことかな?でも数学において「図示」を証明の根拠にしていいのだろうか…?解答のこの辺のさじ加減正直よくわからない。

勉強の姿勢(★P273)

\((4.6)\)を満足する\(S\)の点列\((x_n)\)は一般に一意的にはきまらないが,\((x_n)\)をどのようにとっても,\((4.7)\)の\(\tilde{x}^{\ast}\)は一意的にきまる.そのことも,\(((S^{\ast},d^{\ast}),\varphi)\)および\(((\tilde{S^{\ast}},\tilde{d^{\ast}}),\tilde{\varphi})\)に関する\(\mathrm{(ii)}\)から直ちに示される.

 

\begin{align*}
\mathrm{(ii)}\quad &\forall x,y\in S[d(x,y)=d^{\ast}(\varphi(x),\varphi(y))=\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(y),\tilde{\varphi}(y))]\\
(4.6)\quad &x^{\ast}=\lim_{n\to \infty}\varphi(x_n)\\
(4.7)\quad &\tilde{x}^{\ast}=\lim_{n\to \infty}\tilde{\varphi}(x_n)
\end{align*}

証明

\(x^{\ast}\)を\(S^{\ast}\)の任意の点とすれば\[x^{\ast}=\lim_{n \to \infty}\varphi(x_n)\]となる\(S\)の点列\((x_n)\)が存在し,\(\tilde{S^{\ast}}\)において\[\tilde{x}^{\ast}=\lim_{n \to \infty}\tilde{\varphi}(x_n)\]が存在する:\[\forall\epsilon>0\exists n_0\in \mathbb{N}\left[n>n_0 \Rightarrow \tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}^{\ast}(x_n),\tilde{x}^{\ast})<\frac{\epsilon}{3}\right]\](証明済みとする)ここで,\[x^{\ast}=\lim_{n \to \infty}\varphi(x_n)=\lim_{n \to \infty}\varphi(x^{\prime}_n)\]となる\(S\)の点列\((x^{\prime}_n)\)が存在すると仮定する: \begin{align*} &\forall\epsilon>0\exists n_1\in \mathbb{N}\left[n>n_1 \Rightarrow d^{\ast}(\varphi(x_n),x^{\ast})<\frac{\epsilon}{3}\right]\\ &\forall\epsilon>0\exists n_2\in \mathbb{N}\left[n>n_2 \Rightarrow d^{\ast}(\varphi(x^{\prime}_n),x^{\ast})<\frac{\epsilon}{3}\right] \end{align*} このとき,示すべきことは\[\tilde{x}^{\ast}=\lim_{n \to \infty}\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n)\]すなわち\[\forall\epsilon>0\exists n^{\prime}_0\in \mathbb{N}\left[n>n^{\prime}_0 \Rightarrow \tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n),\tilde{x}^{\ast})<\epsilon\right]\]である.この示すべき\(n^{\prime}_0\)は\[n^{\prime}_0=\max\{n_0,n_1,n_2\}\]である.実際,\(\mathrm{(ii)}\)により \begin{align*} &d(x^{\prime}_n,x_n)=d^{\ast}(\varphi(x^{\prime}_n),\varphi(x_n))\\ &d(x^{\prime}_n,x_n)=\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n),\tilde{\varphi}(x_n)) \end{align*}に注意すれば,\(n>n^{\prime}_0\)のとき,
\begin{align*}
\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n),\tilde{x}^{\ast})\leq&\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n),\tilde{\varphi}(x_n))+\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x_n),\tilde{x}^{\ast})\\
=&d^{\ast}(\varphi(x^{\prime}_n),\varphi(x_n))+\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x_n),\tilde{x}^{\ast})\\
\leq&d^{\ast}(\varphi(x^{\prime}_n),x^{\ast})+d^{\ast}(x^{\ast},\varphi(x_n))+\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x_n),\tilde{x}^{\ast})\\
<&\frac{\epsilon}{3}+\frac{\epsilon}{3}+\frac{\epsilon}{3}\\
=&\epsilon
\end{align*}

証明終

数学の成績を上げるために「初見の問題を次々と浴びるように演習すればいい」と考えている人は少なくなくありません。1回見ただけあるいは解いただけで内容を理解しかつ覚えられる頭脳の持ち主ならば確かにそれが最善の勉強法だと思います。が,高くないレベルでもがいている時点で少なくともそのタイプには当てはまらない。いわゆる普通の生徒がそのような勉強をしても,勉強した気になるだけで右の耳から左の耳,知識が頭に残らず何の意味もない。「考える力がつくから」と思うかもしれませんがそれも実質的には意味がない。その「考える力」なるものも知識を土台にして成り立つものだからです。そして試験というのはこの意味で「頭の中の知識を吐き出す場」であって,当然ながらないものは出せず,点数にすら結びつかない。

だから,数学の勉強をする際はこれと決めた本で,しかも新しい問題ではなく同じ問題を出来るようになるまで繰り返し,まず必要な知識(何を知っていれば/どう考えれば解けたのか,間違えたのであればその原因は何だったのか,等々)を頭に定着させることが最初の一歩だと僕は考えています(もちろん,必然性を伴って!)。その地道な作業の過程で長い時間がかかるものの確実に点数は上がっていく。

そしてこの解き直しという周回作業には強力な副産物がある。いやむしろ「数学」の学習という意味ではこっちが主産物かも知れない。

それは「分からなかったところが分かるようになる」「自分の過去の理解や解釈の誤りに気付く」「新たな疑問(=新たな視点)が得られる」ということ…総じて,「理解が深まる」ことだ。

卑近な例だけど上での証明もそう。僕は粘りに粘ってもどうしても理解できないところは泣く泣く理解を保留し,付箋を貼っておいて未来の自分に希望を託している。その付箋の箇所のひとつを,最近,改めて考えたら上のように片付いた。これは自分の成長の証でとても嬉しいことだし,なにより自信がつく。少なくとも数学はこのような姿勢で学ぶことが重要と思う。

数学で点数がとれないと悩んでいる人は,頭の中に知識を入れなければ何も始まらないという現実にまず向き合おう。そのために,あれこれと問題を食い散らかさず,できなかった問題を出来るようになるまで繰り返し解こう。分からない問題があってももいい。いずれわかる。そうして本が手垢でボロボロになるまで読み込もう。

学校であれ予備校であれ塾であれ,なんとなく授業をうけてなんとなく解いていても残念ながら成績が上がることはない。

覚悟を決めよう。

解法と必然性 その2

前記事の証明は

証明
 
\(n=1\)のとき,\((3+i)^1=3+i\)は虚数.
\(n=2\)のとき,\((3+i)^2=18+26i\)より,実部と虚部を\(10\)で割った余りはそれぞれ\(8,6\)である.\((3+i)^n=\alpha+\beta i,~\alpha\equiv 8 \pmod{10},~\beta\equiv 6 \pmod{10}\)と仮定する.このとき,
\begin{align*}
(3+i)^{n+1}=&(3+i)(3+i)^n\\
=&(3+i)(\alpha+\beta i)\\
=&(3\alpha-\beta)+(\alpha+3\beta)i\\
\end{align*}ここで,
\begin{align*}
&3\alpha-\beta \equiv 3\cdot 8 -6=18\equiv 8\pmod{10}\\
&\alpha+3\beta \equiv 8 + 3\cdot 6=18\equiv 6\pmod{10}\\
\end{align*}
であるから,上の仮定のもとで\[(3+i)^{n+1}=\alpha^{\prime}+\beta^{\prime} i,~\alpha^{\prime}\equiv 8 \pmod{10},~\beta^{\prime}\equiv 6 \pmod{10}\]が成り立つ.したがってすべての\(n\in\{2,3,\cdots\}\)で\[(3+i)^n=\alpha+\beta i,~\alpha\equiv 8 \pmod{10},~\beta\equiv 6 \pmod{10}\]が成り立つ,よって\((3+i)^n\)は虚数となる.以上によりすべての\(n\in\mathbb{N}\)で\((3+i)^n\)は虚数となる.
 
証明終

となります。この解答の流れを図示すると,以下のようになります:


 
ここで「解法を覚える」ということはどういうことかを考えてみます。「解法を覚える」というと,上の図で示した解法を「パターン」として機械的に覚えるもの…と解釈する人は少なくないようです。しかし「パターン」として機械的に覚えるだけでは例えばなぜ冒頭でいきなり\(n=1\)と\(n=2\)をあのような形で別々に扱ったのか,なぜ\((3+i)^n=\alpha+\beta i,~\alpha\equiv 8 \pmod{10},~\beta\equiv 6 \pmod{10}\)と仮定しようと思いついたのか,その動機がまったく不明瞭なままです。実際の試験場では当然ながら自分にヒントを与えてくれる人はおらず頼りになるのは自分しかいないわけですから,その解法自体を思いつくためのきっかけ(必然性)こそが重要なはずです。

そこで改めて上の解答に至った経緯を見直してみます。「\(\alpha\equiv 8,\beta \equiv 6\)」と仮定したのは幾度かの試行錯誤の末得られたものでした。そしてそれにより「\(n=2\)のとき別個に調べる」必要が生じました。図示すれば,以下のようになります。


したがって,覚えるべきは流れは以下のようになります。

 

冒頭の図で示したような直線的な流れではなく,紆余曲折があり,そこから必然性が生まれる,ということです。覚えるのならば,この必然性を含めて覚える。数学における「覚える」とはこのような姿勢でなければなりません。

尚,このような「必然性」は,一般には解答・解説には載っていません。指導してれる人がいない限り,基本自分でそれを読み取らなければならない。だから数学の解答を読む際は「なぜ?」と問いかけながら,あたかも本と対話するように読むことが重要です。もし本の解答解説が必然性が感じられない,天下り的なものであれば,自分の手で発見的な解答に作り直す,くらいの気持ちをもつべきだと思います。

解法と必然性 その1

数学で得点できるようにするためにはどうしたらいいか?という悩みに対して,僕はどの生徒に対しても「まず解法を覚え,手数を増やすこと」と指示しています。「『解き方』を次々と覚えることが『数学』の学習といえるのか」という点においては疑問の余地がありますが,しかし現実問題として中高数学においては「限られた時間内に点数を取りきる」という使命が課せられていますから,結局のところこの姿勢は十分ではないにせよ確実に必要です。

「覚える」というと,例えば歴史の年号暗記や人物名の暗記のような固有名詞の力技の暗記が連想されますが,しかし数学における「覚える」というのは,そのような単純な作業ではなく,「なぜそうしようと思うのか?」という理解をも含めて覚える,ということを意味しています。

次の問題を例に考えてみます。

\(i\)を虚数単位とする.以下の問いに答えよ.
 
\((1)\quad\)\(n=2,3,4,5\)のとき\((3+i)^n\)を求めよ.またそれらの虚部の整数を\(10\)で割った余りを求めよ.

\((2)\quad\)\(n\)を正の整数とするとき\((3+i)^n\)は虚数であることを示せ.
 

(神戸大)

\((1)\)は計算するだけです。

\begin{align*}
&(3+i)^2=8+6i\\
&(3+i)^3=(3+i)(8+6i)=18+26i\\
&(3+i)^4=(3+i)(18+26i)=28+96i\\
&(3+i)^5=(3+i)(28+96i)=-12+316i\\
\end{align*}
虚部を\(10\)で割った余りはすべて\(6\)

問題は\((2)\)です。これは「すべての\(n\)で」ということなので,まず数学的帰納法であろうと思いつきます。いつも通りやってみます。

\(n=1\)のとき,\((3+i)^1=3+i\)であるから主張は正しい.\(n\)のとき主張が正しい,すなわち\((3+i)^n\)が虚数であると仮定する.

このとき,\((3+i)^{n+1}\)が虚数であることが示せればめでたしめでたし…なのですが上のような‘日本語による’仮定では計算ができず議論が進まないので,‘数式で’仮定しなおすことにします:

\(n\)のとき主張が正しい,すなわち\((3+i)^n=\alpha+\beta i\quad(\beta\neq 0)\)と仮定する.このとき,
\begin{align*}
(3+i)^{n+1}=&(3+i)(3+i)^n\\
=&(3+i)(\alpha+\beta i)\\
=&(3\alpha-\beta)+(\alpha+3\beta)i\\
\end{align*}

あとは\(\alpha+3\beta\)が\(0\)でないことが言えればいいのですが,しかし,手元の過程は\(\beta\neq 0\)のみであり,これだけでは\(\alpha+3\beta\)が\(0\)でないことは到底言えそうにありません。ここで,思わせぶりだった\((1)\)の結果:「\((3+i)^n~(n\in \{2,3,4,5\})\)の虚部を\(10\)で割った余りはすべて\(6\)」から,「\(\beta\neq 0\)」ではなく「\(\beta\)を\(10\)で割った余りが\(6\)である」と仮定すればよいのでは?と思いつきます(実際,\(\beta\equiv 6 \pmod{10}\)が言えれば,当然\(\beta \neq 0\)です):

\((3+i)^n=\alpha+\beta i,~\beta\equiv 6 \pmod{10}\)と仮定する.このとき,
\begin{align*}
(3+i)^{n+1}=&(3+i)(3+i)^n\\
=&(3+i)(\alpha+\beta i)\\
=&(3\alpha-\beta)+(\alpha+3\beta)i\\
\end{align*}

しかし,虚部は\(\alpha+3\beta\)であり,相変わらず手元には\(\alpha\)についての仮定は何もありませんから,上のように仮定したところでやはり\(\alpha+3\beta\neq 0\)は言えません。\(\alpha\)について何か欲しい。うーん。。。そこで,再び\((1)\)を眺めます。実部に着目すると,こちらは「\(10\)で割った余りが\(8\)」であることが予想されます。おっと,じゃあ仮定を強めて\(\alpha \equiv 8\pmod{10},~\beta\equiv 6\pmod{10}\)と仮定すればいいのでは?と思いつきます。すると…

\((3+i)^n=\alpha+\beta i,~\alpha\equiv 8 \pmod{10},~\beta\equiv 6 \pmod{10}\)と仮定する.このとき,
\begin{align*}
(3+i)^{n+1}=&(3+i)(3+i)^n\\
=&(3+i)(\alpha+\beta i)\\
=&(3\alpha-\beta)+(\alpha+3\beta)i\\
\end{align*}ここで,
\begin{align*}
&3\alpha-\beta \equiv 3\cdot 8 -6=18\equiv 8\pmod{10}\\
&\alpha+3\beta \equiv 8 + 3\cdot 6=18\equiv 6\pmod{10}\\
\end{align*}
であるから,上の仮定のもとで\[(3+i)^{n+1}=\alpha^{\prime}+\beta^{\prime} i,~\alpha^{\prime}\equiv 8 \pmod{10},~\beta^{\prime}\equiv 6 \pmod{10}\]が成り立つ.

うまくいきました。これで証明終わり!といきたいところですが,仮定を強めたので,数学的帰納法の‘連鎖反応のスイッチ’,つまり\(n=1\)の調査をやり直さなければなりません。しかし\((3+i)^1=3+i\)で実部も虚部も\(\mod{10}\)で\(8,6\)ではありません。そこで\(n=2\)のときを‘連鎖反応のスイッチ’にすることにします(\((1)\)で記述していますが):

\(n=2\)のとき,\((3+i)^2=18+26i\)より,実部と虚部を\(10\)で割った余りはそれぞれ\(8,6\)である.

\(n=1\)は別枠で示しておけばいいでしょう。これで証明が完成しました。(つづく)

絶対値を含む方程式

\(a\)を\(-1\)より大きい定数とする.\[a(|x|-a)+x+1<0\]を解け. (駿台模試,一部抜粋)

解答

\begin{align*}
&a(|x|-a)+x+1<0 \land a>-1\\
\Longleftrightarrow~&a(|x|-a)+x+1<0 \land a>-1 \land (x \geq 0 \lor x <0)\\ \Longleftrightarrow~&(a(x-a)+x+1<0 \land a>-1 \land x \geq 0)\\
&\lor (a(-x-a)+x+1 < 0 \land a>-1 \land x < 0)\\ \Longleftrightarrow~&((a+1)x < a^2-1 \land a+1>0 \land x \geq 0)\\
&\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0)\\ \Longleftrightarrow~&(x < a-1 \land a+1>0 \land x \geq 0) \\
&\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0)\\ \Longleftrightarrow~&((x < a-1 \land a+1>0 \land x \geq 0)\land(a-1\leq 0 \lor a-1 >0)) \\
&\lor (((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0)\land (1-a>0\lor 1-a=0 \lor 1-a <0))\\ \Longleftrightarrow~&(x < a-1 \land a+1>0 \land x \geq 0 \land a-1\leq 0) \\
&\lor(x < a-1 \land a+1>0 \land x \geq 0 \land a-1 >0) \\
&\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0 \land 1-a>0)\\
&\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0 \land 1-a=0)\\ &\lor ((1-a)x < a^2-1 \land a > -1 \land x < 0 \land 1-a <0)\\ \Longleftrightarrow~&(x < a-1 \land x \geq 0 \land -1 < a \leq 1) \\ &\lor(x < a-1 \land a > -1 \land x \geq 0 \land a >1) \\
&\lor (x < -a-1 \land x < 0 \land -1 < a < 1)\\ &\lor (0x < 0 \land a > -1 \land x < 0 \land a=1)\\ &\lor (x > -a-1 \land a > -1 \land x < 0 \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~&\bot\\ &\lor(x < a-1 \land x \geq 0 \land a >1) \\
&\lor (x < -a-1 \land x < 0 \land -1 < a < 1)\\ &\lor \bot\\ &\lor (x > -a-1 \land x < 0 \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~&(x < a-1 \land x \geq 0 \land a >1) \\
&\lor (x < -a-1 \land x < 0 \land -1 < a < 1)\\ &\lor (x > -a-1 \land x < 0 \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~& (x < -a-1 \land -1 < a < 1)\\ &\lor(x < a-1 \land x \geq 0 \land a >1) \\
&\lor (x > -a-1 \land x < 0 \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~& (x < -a-1 \land -1 < a < 1)\\ &\lor (((x < a-1 \land x \geq 0) \lor (x > -a-1 \land x < 0 )) \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~& (x < -a-1 \land -1 < a < 1)\\ &\lor ((0 \leq x < a-1 \lor -a-1< x < 0 ) \land 1 < a)\\ \Longleftrightarrow~& (x < -a-1 \land -1 < a < 1)\lor (-a-1< x < a-1 \land 1 < a ) \end{align*} 解答終

ベクトルの便利公式

\(\triangle{\mathrm{ABC}}\)において,\(\triangle{\mathrm{PBC}}:\triangle{\mathrm{PCA}}:\triangle{\mathrm{PAB}}=a:b:c~\)のとき,\[\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\frac{1}{a+b+c}(b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}})\]

 

 

証明

直線\(\mathrm{AP}\)と辺\(\mathrm{BC}\)との交点を\(\mathrm{D}\)とおくと,\(\triangle{\mathrm{PCA}}:\triangle{\mathrm{PAB}}=b:c\)より\(\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=c:b\)であるから,内分の公式により\[\overrightarrow{\mathrm{AD}}=\frac{b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}}}{c+b}\]
また,凹四角形\(\mathrm{ABPC}\)と\(\triangle{\mathrm{PBC}}\)の面積比が\(b+c:a\)であることから\(\mathrm{AP}:\mathrm{PD}=b+c:a\)だから\[\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\frac{b+c}{a+b+c}\overrightarrow{\mathrm{AD}}\]
この\(2\)式により
\begin{align*}
\overrightarrow{\mathrm{AP}}=&\frac{b+c}{a+b+c}\overrightarrow{\mathrm{AD}}\\
=&\frac{b+c}{a+b+c}\frac{1}{b+c}(b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}})\\
=&\frac{1}{a+b+c}(b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}})
\end{align*}

証明終

幾何の問題でおなじみ「底辺が等しければ面積比=高さの比」を利用します。この公式は例のあの問題で役立ちます:

\(\Delta \mathrm{OAB}\)において,辺\(\mathrm{OA}\)の中点を\(\mathrm{C}\),辺\(\mathrm{OB}\)を\(2:1\)に内分する点を\(\mathrm{D}\)とし,線分\(\mathrm{AD}\)と線分\(\mathrm{BC}\)の交点を\(\mathrm{P}\)とする.\(\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\overrightarrow{a},\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\overrightarrow{b}\)とするとき,\(\overrightarrow{\mathrm{OP}}\)を\(\overrightarrow{a},\overrightarrow{b}\)を用いて表せ.

解答

\(\mathrm{OC:CA}=1:1\)であるから,\(\triangle{\mathrm{PBO}}:\triangle{\mathrm{PBA}}=1:1\)
また,\(\mathrm{OD:DB}=2:1\)であるから,\(\triangle{\mathrm{PAO}}:\triangle{\mathrm{PAB}}=2:1\)
よって,\(\triangle{\mathrm{PAO}}:\triangle{\mathrm{PAB}}:\triangle{\mathrm{PBO}}=2:1:1\)
上の公式により,
\begin{align*}
\overrightarrow{\mathrm{OP}}=&\frac{1}{2+1+1}(1\overrightarrow{\mathrm{OA}}+2\overrightarrow{\mathrm{OB}})\\
=&\frac{1}{4}\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\frac{1}{2}\overrightarrow{\mathrm{OB}}
\end{align*}

解答終

というように早くて楽…なんですが,しかしこれは教科書に載っていないため,試験で使ってよいかというと微妙なところだと思います。(証明を含めてかけばもちろん問題はないけど,それだと時間がかかり本末転倒)

なので,検算に用いるとよいと思います。

2次の不定方程式(つづき2)

\begin{align*}
&2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0 \land x,y\in\mathbb{Z}\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z}\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \in \{0,1,2,\cdots\}[25y^2-50y+49=k^2]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \in \{0,1,2,\cdots\}[(5y-k-5)(5y+k-5)=-24]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \in \{0,1,2,\cdots\}\left[\begin{cases}5y-k-5=-2\\5y+k-5=12 \end{cases} \lor \begin{cases}5y-k-5=-4\\5y+k-5=6\end{cases}\right.\\
&\lor \left. \begin{cases}5y-k-5=-6\\5y+k-5=4\end{cases} \lor \begin{cases}5y-k-5=-12\\5y+k-5=2\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \left[\begin{cases}5y-k-5=-2\\5y+k-5=12\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \lor \begin{cases}5y-k-5=-4\\5y+k-5=6 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases}\right.\\
&\lor \left. \begin{cases}5y-k-5=-6\\5y+k-5=4 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \lor \begin{cases}5y-k-5=-12\\5y+k-5=2 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x,y\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \left[\begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \lor \begin{cases}y=\frac{6}{5}\\k=5 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases}\right.\\
&\lor \left. \begin{cases}y=\frac{4}{5}\\k=5 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \lor \begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \left[\begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \lor \begin{cases}y=\frac{6}{5}\\k=5 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases}\right.\\
&\lor \left. \begin{cases}y=\frac{4}{5}\\k=5 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \lor \begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \\
&\land \exists k \left[\begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \lor \begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \right]\\
\Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \\
&\land \left( \exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \lor \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \right)\\
\Longleftrightarrow~&\left( x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \land \exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases}\right)\\
&\lor \left( x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4} \land x\in\mathbb{Z} \land \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\y\in\mathbb{Z}\end{cases} \right)\\
\Longleftrightarrow~&\exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4}\end{cases} \lor \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4}\end{cases}\\
\Longleftrightarrow~&\exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=\frac{-3\pm 7}{4}\end{cases} \lor \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=\frac{3 \pm 7}{4}\end{cases}\\
\Longleftrightarrow~&\exists k \begin{cases}y=2\\k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=1\end{cases} \lor \exists k\begin{cases}y=0\\k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\\x,y\in\mathbb{Z}\\x=-1\end{cases}\\
\Longleftrightarrow~&\left(\begin{cases}(x,y)=(1,2)\\x,y\in \mathbb{Z}\end{cases} \land \exists k \begin{cases}k=7\\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases}\right) \\
&\lor \left(\begin{cases} (x,y)=(-1,0)\\\\x,y\in \mathbb{Z}\end{cases} \land \exists k\begin{cases}k=7 \\ k\in \{0,1,2,\cdots\}\end{cases}\right)\\
\Longleftrightarrow~&\begin{cases}(x,y)=(1,2)\\x,y\in \mathbb{Z}\end{cases} \lor \begin{cases} (x,y)=(-1,0)\\x,y\in \mathbb{Z}\end{cases}\\
\Longleftrightarrow~&(x,y)=(1,2) \lor (x,y)=(-1,0)
\end{align*}

2次の不定方程式(つづき1)

次の方程式を満たす整数\(x,y\)の値を求めよ.

    1. \(2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\)
    2. \(x^2-4xy+5y^2+2x-5y-1=0\)
  • 前回記事(上の問題)の1. \[2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\]を因数分解せずに解くとどうなるかを見てみます。前と同様,
    \begin{align*}
    &2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4}
    \end{align*}と変形し,ここから必要条件として\[25y^2-50y+49\geq 0\]が得られますが,しかしこれは何の旨味もないものです。なぜならこの式を満たす\(y\in \mathbb{Z}\)は無数にあり,\(y\)が絞れないからです。そこで必要条件として別のものをとり出してみます。

    別解

    \begin{align*}
    &2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&x=\frac{-3(y-1)\pm \sqrt{25y^2-50y+49}}{4}
    \end{align*}\(x\)は整数であるから\[25y^2-50y+49=k^2\quad(k=0,1,2,\cdots)\]と表せることが必要.ここで
    \begin{align*}
    &25y^2-50y+49=k^2\\
    \Longleftrightarrow~&25(y^2-2y+1-1)-k^2+49=0\\
    \Longleftrightarrow~&25(y-1)^2-k^2=-24\\
    \Longleftrightarrow~&(5(y-1)-k)(5(y-1)+k)=-24\\
    \Longleftrightarrow~&(5y-k-5)(5y+k-5)=-24(=-2^3\times 3)
    \end{align*}
    また,\((5y-k-5)+(5y+k-5)=2(5y-3)(=\text{偶数})\)であることから\(5y-k-5\)と\(5y+k-5\)の偶奇は一致すること,そして\(5y-k-5<5y+k-5\)であることから,\((5y-k-5,5y+k-5)\)の組み合わせは\[(-2^1,2^2\cdot 3),(-2^2,2^1\cdot 3),(-2^1\cdot 3,2^2),(-2^2\cdot 3,2^1)\]の\(4\)通りであることが分かる.これより\(y=2,\frac{6}{5},\frac{4}{5},0\)が得られ,\(y\)は整数だから\(y=0,2\)で\(x=-1,1\).したがって求める答えは\((x,y)=(-1,0),(1,2)\)である.

    別解終

    途中,必要条件なのに逆の考察をしていないのはやはり同値だからです。論理式で記述すると(つづく)

    2次の不定方程式

    次の方程式を満たす整数\(x,y\)の値を求めよ.

    1. \(2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\)
    2. \(x^2-4xy+5y^2+2x-5y-1=0\)
  • 1.
    整数問題の大まかなタイプとしては,

    因数分解,範囲を絞ってしらみつぶし,合同式の利用(余りで分類)

    というのは有名ですが,このうち一つ目の因数分解を狙うというのは自然な発想かと思います。

    (因数分解の方針その1)
    \begin{align*}
    &2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2x^2+3(y-1)x-2y^2+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2x^2+3(y-1)x-2(y^2-2y+1-1)-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2x^2+3(y-1)x-2(y-1)^2-3=0\\
    \Longleftrightarrow~&(2x-y+1)(x+2y-2)=3
    \end{align*}

    3行目の変形がちょっと苦しい…?^^;

    (因数分解の方針その2)
    \begin{align*}
    &2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2x^2+3(y-1)x-2y^2+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2\left(x^2+\frac{3(y-1)}{2}x+\frac{9(y-1)^2}{16}-\frac{9(y-1)^2}{16}\right)-2y^2+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&2\left(x+\frac{3(y-1)}{4}\right)^2-\frac{9(y-1)^2}{8}-2y^2+4y-5=0\\
    \Longleftrightarrow~&(4x+3(y-1))^2-9(y-1)^2-16y^2+32y-40=0\\
    \Longleftrightarrow~&(4x+3(y-1))^2-25y^2+50y-49=0\\
    \Longleftrightarrow~&(4x+3(y-1))^2-25(y^2-2y+1-1)-49=0\\
    \Longleftrightarrow~&(4x+3(y-1))^2-25(y-1)^2=24\\
    \Longleftrightarrow~&(4x-2y+2)(4x+8y-8)=24\\
    \Longleftrightarrow~&(2x-y+1)(x+2y-2)=3
    \end{align*}平方完成で強引に。

    (因数分解の方針その3)
    \(2x^2+3xy-2y^2=(2x-y)(x+2y)\)に着目し,\((2x-y+a)(x+2y+b)\)という式の展開式を考えます。すると\[(2x-y+a)(x+2y+b)=2x^2+3xy-2y^2+Ax+By+C\]という与式の形が現れますから,\(A=-3,B=4\)を解いて,\(a,b\)を求めます(これを\(a_0,b_0\)とします。これにより\(C=C_0\)も求まる):\[(2x-y+a_0)(x+2y+b_0)=2x^2+3xy-2y^2-3x+4y+C_0\]与式より\(2x^2+3xy-2y^2-3x+4y=5\)でしたから
    \begin{align*}
    &(2x-y+a_0)(x+2y+b_0)=2x^2+3xy-2y^2-3x+4y+C_0\\
    \Longleftrightarrow&~(2x-y+a_0)(x+2y+b_0)=5+C_0
    \end{align*}を得ます。以上を実際行うと,
    \[(2x-y+1)(x+2y-2)=2x^2+3xy-2y^2-3x+4y-2=5-2=3\]となります。

    …ともあれ因数分解できました。あとは右辺の因数の組み合わせが\((1,3),(-1,-3),(3,1),(-3,-1)\)のみであることから\((x,y)=(1,2),(-1,0)\)を得ます。

    2.
    これも因数分解…と思いきや,1.のようにうまく因数分解できない。お手上げか…?
    そこで姿勢を変えて論理で攻めてみます

    解答
    \begin{align*}
    &x^2-4xy+5y^2+2x-5y-1=0\\
    \Longleftrightarrow~&x^2-2(2y-1)x+5y^2-5y-1=0\\
    \Longleftrightarrow~&x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2}
    \end{align*}これが整数解をもつならば,\(-y^2+y+2\geq 0\)であることが必要
    \begin{align*}
    &-y^2+y+2\geq 0\\
    \Longleftrightarrow~&y^2-y-2\leq 0\\
    \Longleftrightarrow~&(y-2)(y+1)\leq 0\\
    \Longleftrightarrow~&-1 \leq y\leq 2
    \end{align*}

    \(y\)は整数であるから,\(y=-1,0,1,2\)
    \(y=-1\)のとき\(x=-3\),
    \(y=0\)のとき\(x=-1\pm \sqrt{2}\),
    \(y=1\)のとき\(x=1\pm \sqrt{2}\),
    \(y=2\)のとき\(x=3\),

    ゆえに\((x,y)=(-1,-3),(2,3)\)が求めるものである.

    解答終

    必要条件なのに逆の考察をしていないのは同値だからです。論理式で記述すると
    \begin{align*}
    &x,y\in \mathbb{Z},x^2-4xy+5y^2+2x-5y-1=0\\
    \Longleftrightarrow~&x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2}\\
    \Longleftrightarrow~& x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land -y^2+y+2\geq 0\\
    \Longleftrightarrow~& x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land -1\leq y \leq 2\\
    \Longleftrightarrow~& x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2}\\
    &\land (y=-1 \lor y=0 \lor y=1 \lor y=2)\\
    \Longleftrightarrow~& \left(x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land y=-1\right)\\
    \lor & \left(x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land y=0\right)\\
    \lor & \left(x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land y=1\right)\\
    \lor & \left(x,y\in \mathbb{Z} \land x=(2y-1)\pm\sqrt{-y^2+y+2} \land y=2\right)\\
    \Longleftrightarrow~& (x,y\in \mathbb{Z} \land x=-3 \land y=-1)\\
    \lor & (x,y\in \mathbb{Z} \land x=-1\pm \sqrt{2} \land y=0)\\
    \lor & (x,y\in \mathbb{Z} \land x=1\pm\sqrt{2} \land y=1)\\
    \lor & (x,y\in \mathbb{Z} \land x=3 \land y=2)\\
    \Longleftrightarrow~&(x,y\in \mathbb{Z} \land x=-3 \land y=-1)\lor (x,y\in \mathbb{Z} \land x=3 \land y=2)\\
    \Longleftrightarrow~&x,y\in \mathbb{Z} \land (( x=-3 \land y=-1)\lor (x=3 \land y=2))\\
    \Longleftrightarrow~&( x=-3 \land y=-1)\lor (x=3 \land y=2)
    \end{align*}ということをしています。ちなみに,\(1.,2.\)それぞれを図示すると\(1.\)は双曲線,\(2.\)は楕円になります。

     

    「すべての」と言われたら(数値代入法)

    前記事の「とびとびの\(x\)で成り立つ」と「すべての\(x\)で成り立つ」との関係を考えなくてはならない例として,次のようなものがあります。

    \[\frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\]が\(x\)についての恒等式となるように定数\(a,b,c,d\)の値を定めよ.

    教科書レベルのよく見る問題です。係数比較法で考えるのが一般的だと思いますがここでは数値代入法で見てみます。
    \begin{align*}
    &\frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\text{が恒等式}\\
    \Longleftrightarrow~&\forall x \left[\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\longrightarrow \frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\right]\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\Longrightarrow \frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\Longrightarrow 2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\\
    \end{align*}分母を払って得られた式を見るとこれはぜひ\(0\)と\(2\)を代入したい。しかし,上にあるように式\(2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\)が成り立つことが保証されているのはあくまで\(0\)と\(2\)でない\(x\)に対してであり,\(x\)が\(0\)と\(2\)のときにつにいては一切言及されていません。なので\(x=0\)と\(x=2\)を代入するわけにはいかない。

    しかし,\(0\)と\(2\)以外の\(x\)は無限個あるので,当然相異なる\(4\)個の\(x\)でも\(3\)次式\(2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\)は成り立ちます。したがって前記事の定理により,\(2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\)はすべての\(x\)で成り立つ,すなわち恒等式であると言えます:
    \begin{align*}
    &\frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\text{が恒等式}\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\Longrightarrow \frac{2x^3-7x^2+11x-6}{x(x-2)^3}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x-2}+\frac{c}{(x-2)^2}+\frac{d}{(x-2)^3}\\
    \Longleftrightarrow~&\begin{cases}x \neq 0 \\ x \neq 2 \end{cases}\Longrightarrow 2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx\\
    \overset{\text{定理}}{\Longleftrightarrow}~&\forall x\in \mathbb{R}[2x^3-7x^2+11x-6=a(x-2)^3+bx(x-2)^2+cx(x-2)+dx]
    \end{align*}
    これで安心して\(x\)に\(0\)と\(2\)が代入できます。あとは式が簡単になる\(1,3\)あたりを代入すればいいと思います。(逆の考察を忘れずに!)

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