\(A\)を集合\(S\)の空でない部分集合とします。
この定義を詳しく見ると,上限とは,
\((1)\) \(a\)は\(A\)の上界である
\((2)\) \(a\)は\(A\)の上界の最小元である
の2つで特徴付けられていることがわかります。これらを論理記号を用いて記述してみると
\begin{align*}
&\forall x\in A[x \leq a]\tag{1}\\
&\forall x\in A[x \leq a^{\prime}]\Longrightarrow a\leq a^{\prime}\tag{2}
\end{align*}そこで,\((2)\)を変形してみます。すると
\begin{align*}
&\forall x\in A[x \leq a^{\prime}]\Longrightarrow a\leq a^{\prime}\tag{2}\\
\Longleftrightarrow~&\overline{\forall x\in A[x \leq a^{\prime}]} \lor a\leq a^{\prime}\\
\Longleftrightarrow~&a\leq a^{\prime} \lor \overline{\forall x\in A[x \leq a^{\prime}]}\\
\Longleftrightarrow~&\overline{a > a^{\prime}} \lor \exists x\in A[x > a^{\prime}]\\
\Longleftrightarrow~& a > a^{\prime} \Longrightarrow \exists x\in A[x > a^{\prime}]\tag{2′}
\end{align*}つまり,\((2′)\)は「\(a\)より少しでも小さい\(a^{\prime}\)を持ってくると,その\(a^{\prime}\)よりも大きい\(A\)の元が存在してしまう」すなわち「\(a\)より少しでも小さい\(a^{\prime}\)を持ってくると,それはもはや上界ではない」ということになります。したがって上の\((1),(2)\)は
\((1)\) \(a\)は\(A\)の上界である
\((2′)\) \(a^{\prime}\)を\(a^{\prime} < a\)を満たす\(S\)の任意の元とすれば,\(a^{\prime}\)は\(A\)の上界ではない
と言い換えらえれることになります。
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\((2)\)と書かれている本と\((2′)\)と書かれている本があって気になっていたので整理してみました。