\(\exists x \forall y\)と\(\forall y \exists x\)の違い

並びが違うだけのように見えますが意味は全く異なります.\(p(x,~y)\)を条件とします.

\(\exists x \forall y~p(x,~y)\)は「\(x\)が存在して,任意の\(y\)に対して\(p(x,~y)\)が成り立つ」となります.最初に「存在して」と言っているあたりが慣れないと気持ち悪いと思います.なので言い換えると,「任意の\(y\)に対して\(p(x,~y)\)が成り立つような\(x\)が,\(y\)とは無関係に存在する」となります.

ポイントは,\(x\)は\(y\)に依存していないということです.

他方,\(\forall y \exists x ~p(x,~y)\)は「どんな\(y\)に対しても,それに対応して\(x\)が存在して,\(p(x,~y)\)が成り立つ」ということです.やはり「存在して」が先に来ると違和感がある人は「\(p(x,~y)\)が成り立つような\(x\)が,\(y\)に応じて存在する」と言い換えればよいと思います.

こちらは\(x\)は\(y\)に依存しているということがポイントです.

【具体例】

条件\(p(x,~y)\)を「\(x\)は\(y\)の親である」という条件とします(\(x,y\in \text{人類}\)).このとき,

\(\exists x \forall y~p(x,~y)\)は,
\[\exists x \forall y~[~\text{\(x\)は\(y\)の親である}~]\]
となります.これを翻訳すると「人間\(x\)が存在して,その人間\(x\)はすべての人間\(y\)の親である」,あるいは「どんな人間\(y\)にとっても親となる人間\(x\)が(その人間\(y\)が誰であるかとは無関係に)存在する」となります.

・・・この命題は常識的に考えれば真とは言いづらいですね^^;宗教のようなある種の信仰を持っている人にとってはこの命題も真と言えるのかもしれませんが.

他方,\(\forall y \exists x ~p(x,~y)\)は,

\[\forall y \exists x ~[~\text{\(x\)は\(y\)の親である}~]\]

これを翻訳すると「どんな人間\(y\)に対しても,その人間\(y\)に対応して\(x\)という人間が存在し,\(x\)と\(y\)との間に親子関係が成り立つ」あるいは「どんな人間\(y\)に対しても,その人間に応じて親\(x\)が存在する」となります.

・・・この命題は明らかに真でしょう.(クローン人間など特殊な例を考えない限り)物理的に人間から生まれなかった人間はいませんから.

以上,\(\exists x \forall y\)と\(\forall y \exists x\)の違い,それは\(x\)と\(y\)の間に関係(対応)があるかないか,ということです!

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