増減表のかきかた2

\(f(x)=x(\log x)^2-2x\log x +\frac{3}{2}x -1~(1\leq x \leq e)\)の最大値と最小値を求めよ.

\begin{align*}
f^{\prime}(x)=&1\cdot (\log x)^2+x\cdot 2(\log x)\frac{1}{x}-2\left(\log x+x\cdot \frac{1}{x}\right)+\frac{3}{2}\\
=&(\log x)^2+2\log x-2\log x-2+\frac{3}{2}\\
=&(\log x)^2-\frac{1}{2}
\end{align*}
\(f^\prime(x)=0\)を解くと,\begin{align*}
&(\log x)^2-\frac{1}{2}=0\\
\Longleftrightarrow &~\left(\log x -\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\left(\log x +\frac{1}{\sqrt{2}}\right)=0\\
\Longleftrightarrow &~\log x = \frac{1}{\sqrt{2}}\\
\Longleftrightarrow &~x=e^{\frac{1}{\sqrt{2}}}
\end{align*}
さて,増減表ですが,例の「\(f(x)=0\)を満たす\(x\)を挟む\(x\)を代入して調べる」方法をとるとすれば,\(1\leq x \leq e^\frac{1}{\sqrt{e}}\)そして\(e^\frac{1}{\sqrt{e}} \leq x \leq e\)を満たす\(x\)を見つけ,それを\(f^{\prime}(x)=(\log x)^2-\frac{1}{2}\)に代入するわけですが…そんなことはとてもじゃないがやってられない。

そこで,以下のように考えます:

\begin{align*}
f^{\prime}(x)=&(\log x)^2-\frac{1}{2}=\left(\log x -\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\left(\log x +\frac{1}{\sqrt{2}}\right)
\end{align*}ここで,\(f^{\prime}(x)\)の正負に関わるのは\(\left(\log x -\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\)の部分だけですから,この部分だけに着目することにします。ここで前回の「増減表のかきかた」で紹介したように「絵をかく」ことを考えますが,ここでさらに一工夫。着目している\(\log x -\frac{1}{\sqrt{2}}\)を,\(y=\log x\)と\(y=\frac{1}{\sqrt{2}}\)との差,という「2つの関数の差」と見なすことで以下のように視覚化できます。


\(y=\log x\)が‘上’なら正,\(y=\frac{1}{\sqrt{2}}\)が‘上’なら負ですから,結局\(f^{\prime}(x)\)の符号は\(e^{\frac{1}{\sqrt{2}}}\)を境に\(-\rightarrow+\)と変化することが直ちに分かります。

他にも例えば,

\[f(x)=e^x\sin x~(0\leq x \leq \pi)\]

であれば,\(f^{\prime}(x)=e^x(\sin x+\cos x)\)となりますが,これなら\(\sin x-(-\cos x)\)という「関数の差」と見なすことで,以下のように増減の様子が即断できます(しかも\(f^{\prime}(x)=0\)をみたす\(x\)が\(\frac{3}{4}\pi\)であることも分かるというオマケつき)。これを「具体的な\(x\)を代入して調べる」なんていう〇〇なことはやるべきじゃない。


増減表のかきかた(\(f^{\prime}(x)\)の行の埋め方)をまとめると,

増減表のかきかた(\(f^{\prime}(x)\)の行の埋め方)

となります。数学Ⅱにおいては,すべて②のみで片付きます。数Ⅲにおいてもほとんどが②’までで片付きます。

上の例から見て分かる通り,「具体的な\(x\)を代入して調べる」という手法が通用するのはせいぜい教科書の例題までで,やっていることは間違いではないものの,入試問題では応用が効かないのです。だからダメダメなんです。にもかかわらず,こんな手法をドヤ顔で教えるのはいかがなものでしょうかね。皆がそうしてるから,教科書にそう書いてあるから,は理由にならんでしょ…と個人的に思います。

増減表のかきかた1

\(f^{\prime}(x)\)の行をどう埋めていくか(\(f^{\prime}(x)\)の符号をどう調べるか),について見てみます。

\(y=\frac{1}{3}x^3-x^2+1\)のグラフをかけ.

生徒に増減表を書かせると\(f^{\prime}(x)\)の行は十中八九「極値をとる\(x\)を挟む具体的な数を代入して,その正負から判断」しようとします。この例だと

\(f^{\prime}(x)=x^2-2x=x(x-2)\)より極値をとる\(x\)は\(0\)と\(2\),だからここでは\(0\)と\(2\)をはさむ数としてたとえば\(-1,1,3\)を代入して
\[\begin{cases}
f^{\prime}(-1)=(-1)^2-2(-1)=3>0 \\
f^{\prime}(1)=1^2-2\cdot 1=-1<0 \\ f^{\prime}(3)=3^2-2\cdot 3=3>0\end{cases}\]

よって

のように。実際,学校で\(f^{\prime}(x)\)の行の埋め方としてそのように教わっているからだと思いますが,それは控えめに言って悪手です。

ここは\(f^{\prime}(x)\)のグラフを書いて,視覚的に判断するべきです:


このように視覚的に考えれば\(0,2\)を境に\(f^{\prime}(x)\)の符号が正→負→正と変化することが,いちいち面倒な代入計算などせずとも直ちに分かります。ちなみに,増減の様子を下に対応させれば

となります。このように考えると,概形だけ知りたいのならばそもそも増減表すら書く必要がないことも分かります。

さて,なぜ教科書お馴染みの「代入して調べる」という方法がまずいかというと,例えば極値をとる\(x\)が汚い値となる場合,例えば\(y=f(x)=-x^3+6x^2-x+1\)なら\(f^{\prime}(x)=-3x^2+12x-1\)より\(f^{\prime}(x)=0\)を解くと\(x=\frac{6\pm\sqrt{33}}{3}\)となりますが,こんなときでも「(挟む数を探して)代入して調べる」のでしょうか。できなくはないけど相当面倒でしょう。まあ,「面倒」なだけならまだ我慢すれば済むけど,じゃあそもそも与えられた\(f(x)\)に文字(未知数)が含まれていたら?「代入」したって\(f^{\prime}(x)\)の具体的な値が分からないのだから,増減表がかけず,したがってグラフが書けない。グラフが書けないということは視覚的な考察ができないということ。グラフの問題でグラフ書けないんだからほぼ詰み。

まとめると,\(f^{\prime}(x)\)の行は,「代入して調べる」なんて応用のきかない方法は無視して,\(f^{\prime}(x)\)のグラフを書いて判別しましょう,ということでした。

この「\(f^{\prime}(x)\)のグラフを書いてその正負を視覚的に判断する」という手法は,数学Ⅲにおいても(というか数Ⅲでこそ)威力を発揮します。