宝くじを買います.人はみなそれぞれ当たる額を予想するでしょう.
「1億円当たってほしい!」「いや欲は言わない,10万円でいいから当たって欲しい」「3億円あたったら何しよう(妄想)」などなど.
このような願望に基づく「人間的な予測値」ではなく,極力客観的な,すなわち「数学的な予測値」を考えてみましょう.それが「期待値」という値です.
\[\text{期待値とは,いくら当たるのかを数学的に予測した値}\]計算式はかんたん.\[\sum \left(\text{(当選金額)}\times\text{(当選確率)}\right)\]
さあ,宝くじの期待値を計算してみましょう.
まず,宝くじの仕組みの確認から.
宝くじ券には,「ユニット」「組」「番号」の3つの情報で構成されています.
ここでは,「ドリームジャンボ宝くじ(第787回全国自治宝くじ)」を例にとって考えてみます.
この回の宝くじでは,
\begin{align*}
\text{組に}&~~1~100\\
\text{番号に}&~~100000~199999
\end{align*}
の番号が振られているそうです.
組が100通り,番号が100000通りですから,\[100\times100,000=10,000,000\]つまり1千万枚の宝くじ券があることになります.この,組と番号の1千万通りの宝くじ券を「1ユニット」と呼びます.この第787回宝くじでは,\[13~\text{ユニット}\]発行するそうですから,結局,\[10,000,000\times13=130,000,000\]すなわち宝くじの発行総枚数は1億3千万枚,ということになります.ひえ~.
次に,各賞の枚数を計算してみましょう.
※ 当選の組と番号は第770回のドリームジャンボ宝くじのを流用しています
※ \(\ast\)\(\ast\)\(\ast\)は1~100までの任意の数です
※ ■は0または1が入ります
※ ●は0~9までの数が入ります
組 | 番号 | 1ユニット あたりの本数 |
13ユニット あたりの本数 |
合計 | 当選金額 | 確率 | |
1等 | 96 | 122234 | 1 | 13 | 13 | 300,000,000 | 0.0000001 |
1等 前後賞 |
96 96 |
122233 122235 |
1 1 |
13 13 |
26 | 100,000,000 | 0.0000002 |
1等 組違い賞 |
1~95 97~100 |
122234 | 99 | 1287 | 1287 | 100,000 | 0.0000099 |
2等 | 135 29 93 |
186460 197327 131661 |
1 1 1 |
13 13 13 |
39 | 10,000,000 | 0.0000003 |
3等 | ■●3 ■●3 ■●4 |
195345 139690 193003 |
2×10=20 2×10=20 2×10=20 |
260 260 260 |
780 | 1,000,000 | 0.000006 |
4等 | \(\ast\)\(\ast\)\(\ast\) \(\ast\)\(\ast\)\(\ast\) |
1●9246 1●7311 |
100×10=1000 100×10=1000 |
13000 13000 |
26000 | 100,000 | 0.0002 |
5等 | \(\ast\)\(\ast\)\(\ast\) | 1●●823 | 100×10^2=10000 | 130000 | 130000 | 10,000 | 0.001 |
6等 | \(\ast\)\(\ast\)\(\ast\) | 1●●●13 | 100×10^3=100000 | 1300000 | 1300000 | 3,000 | 0.01 |
7等 | \(\ast\)\(\ast\)\(\ast\) | 1●●●●2 | 100×10^4=1000000 | 13000000 | 13000000 | 300 | 0.1 |
期待値を計算すると,
\[
\begin{align*}
&3000000000\times\frac{13}{130000000}+100000000\times\frac{26}{130000000}+100000\times\frac{1287}{130000000}\\+&10000000\times\frac{39}{130000000}+1000000\times\frac{780}{130000000}+100000\times\frac{26000}{130000000}\\
+&10000\times\frac{130000}{130000000}+3000\times\frac{1300000}{130000000}+300\times\frac{13000000}{130000000}\\
=&150
\end{align*}
\]
ゼロの個数あってるかな(実際はエクセルで計算しました).
・・・150円.つまり数学的には150円当たる,と予測できるわけです.しかし考えてみてください.ドリームジャンボ宝くじは一枚いくらしますか.
・・・300円!!!
うーん.買わない方がいいですね^^;
おわり