シンプルな問題

\(\tan1^{\circ}\)は有理数か。(京都大)

解答

\(\tan1^{\circ}\)が有理数であると仮定する。\[\tan(1^{\circ}+k^{\circ})=\frac{\tan 1^{\circ}+\tan k^{\circ}}{1-\tan 1^{\circ}\tan k^{\circ}}\]であるから,仮定により
\[\tan k^{\circ}\text{が有理数} \Longrightarrow \tan(1^{\circ}+k^{\circ})\text{が有理数}\]ゆえに帰納的に\(\tan 30^{\circ}\left(=\frac{1}{\sqrt{3}}\right)\)は有理数となり,矛盾。したがって\(\tan1^{\circ}\)は無理数である。

解答終

共通テストの対話型形式問題,俗にいう太郎花子問題に思う。読ませながら発見的に解かせようという意図は理解できるけど,太郎と花子解法に追従するしかない自由度の低さ,問題文の冗長さ,見た目の汚さ。数学の魅力の大部分を捨て去ってる気もする。それに比べ上の京都大の問題。たった1行で記述され,無駄がなくかっこいい。そして「あとは各自自由に考えてね☆」とぶん投げられる自由度の高さ。そこにどんな密度が潜んでいるのだろうと興味を掻き立てられる。でも実際蓋を開けてみるとあまり難しくない。個人的にはこういう方が断然好き。

球体を使った連続の定義(★P149)

自分用ノート( ఠ ͟ʖ ఠ)

\(\epsilon\delta\)論法を球体で表現:

任意の\(\epsilon >0\)に対し,ある\(\delta>0\)が存在して,
\begin{align*}
&f(B^{(n)}(a;\delta))\subset B^{(m)}(f(a);\epsilon)\\
\Longleftrightarrow~& y \in f(B^{(n)}(a;\delta)) \Rightarrow y \in B^{(m)}(f(a);\epsilon)\\
\Longleftrightarrow~& \forall y[y \in f(B^{n}(a;\delta)) \rightarrow d^{(m)}(f(a),y) < \epsilon]\\
\Longleftrightarrow~& \forall y\left[\exists x \in B^{(n)}(a;\delta) [f(x)=y] \rightarrow d^{(m)}(f(a),y) < \epsilon\right]\\
\Longleftrightarrow~& \forall y\left[\exists x \left[d^{(n)}(a,x)< \delta \land f(x)=y\right] \rightarrow d^{(m)}(f(a),y) < \epsilon\right]\\
\Longleftrightarrow~& \forall y\left[\overline{\exists x \left[d^{(n)}(a,x)< \delta \land f(x)=y\right]} \lor d^{(m)}(f(a),y) < \epsilon\right]\\
\Longleftrightarrow~& \forall y\left[\forall x \left[\overline{d^{(n)}(a,x)< \delta} \lor \overline{f(x)=y}\right] \lor d^{(m)}(f(a),y) < \epsilon\right]\\
\Longleftrightarrow~& \forall y\left[\forall x \left[\overline{d^{(n)}(a,x)< \delta} \lor \overline{f(x)=y} \lor d^{(m)}(f(a),y) < \epsilon\right]\right]\\
\Longleftrightarrow~& \forall y\left[\forall x \left[\overline{d^{(n)}(a,x)< \delta} \lor \overline{f(x)=y \land d^{(m)}(f(a),y) \geq \epsilon}\right]\right]\\
\Longleftrightarrow~& \forall y\left[\forall x \left[\overline{d^{(n)}(a,x)< \delta} \lor \overline{f(x)=y \land d^{(m)}(f(a),f(x)) \geq \epsilon}\right]\right]\\
\Longleftrightarrow~& \forall y\forall x \left[\overline{d^{(n)}(a,x)< \delta} \lor d^{(m)}(f(a),f(x)) < \epsilon \lor \overline{f(x)=y}\right]\\
\Longleftrightarrow~& \forall x\forall y \left[\left[d^{(n)}(a,x)< \delta \rightarrow d^{(m)}(f(a),f(x)) < \epsilon \right]\lor \overline{f(x)=y}\right]\\
\Longleftrightarrow~&\forall x \left[\left[d^{(n)}(a,x)< \delta \rightarrow d^{(m)}(f(a),f(x)) < \epsilon \right]\lor \forall y \left[\overline{f(x)=y}\right]\right]\\
\Longleftrightarrow~&\forall x \left[\left[d^{(n)}(a,x)< \delta \rightarrow d^{(m)}(f(a),f(x)) < \epsilon \right] \lor \overline{\exists y \left[f(x)=y \right]}\right]\\
\Longleftrightarrow~&\forall x \left[\left[d^{(n)}(a,x)< \delta \rightarrow d^{(m)}(f(a),f(x)) < \epsilon \right] \lor \bot\right]\\
\Longleftrightarrow~&\forall x \left[d^{(n)}(a,x)< \delta \rightarrow d^{(m)}(f(a),f(x)) < \epsilon\right]\\
\Longleftrightarrow~&d^{(n)}(a,x)< \delta \Rightarrow d^{(m)}(f(a),f(x)) < \epsilon
\end{align*}

特に,\(d:\mathbb{R}^n\rightarrow \mathbb{R}^m\)を\(d(x,y)=\sqrt{\displaystyle\sum_{i=1}^{n} (x_i-y_i)^2}\)と定めれば,\(n=1,m=1\)のとき,\[|x-a|< \delta \Rightarrow |f(x)-f(a)| < \epsilon\]と例のアレになる。

\(\ast\qquad\ast\qquad\ast\)

しかしアニメ版神々の山嶺ほんと面白い。羽生丈二いいなあ。ああいう人間好きだわあ。

勉強の姿勢(★P273)

\((4.6)\)を満足する\(S\)の点列\((x_n)\)は一般に一意的にはきまらないが,\((x_n)\)をどのようにとっても,\((4.7)\)の\(\tilde{x}^{\ast}\)は一意的にきまる.そのことも,\(((S^{\ast},d^{\ast}),\varphi)\)および\(((\tilde{S^{\ast}},\tilde{d^{\ast}}),\tilde{\varphi})\)に関する\(\mathrm{(ii)}\)から直ちに示される.

 

\begin{align*}
\mathrm{(ii)}\quad &\forall x,y\in S[d(x,y)=d^{\ast}(\varphi(x),\varphi(y))=\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(y),\tilde{\varphi}(y))]\\
(4.6)\quad &x^{\ast}=\lim_{n\to \infty}\varphi(x_n)\\
(4.7)\quad &\tilde{x}^{\ast}=\lim_{n\to \infty}\tilde{\varphi}(x_n)
\end{align*}

証明

\(x^{\ast}\)を\(S^{\ast}\)の任意の点とすれば\[x^{\ast}=\lim_{n \to \infty}\varphi(x_n)\]となる\(S\)の点列\((x_n)\)が存在し,\(\tilde{S^{\ast}}\)において\[\tilde{x}^{\ast}=\lim_{n \to \infty}\tilde{\varphi}(x_n)\]が存在する:\[\forall\epsilon>0\exists n_0\in \mathbb{N}\left[n>n_0 \Rightarrow \tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}^{\ast}(x_n),\tilde{x}^{\ast})<\frac{\epsilon}{3}\right]\](証明済みとする)ここで,\[x^{\ast}=\lim_{n \to \infty}\varphi(x_n)=\lim_{n \to \infty}\varphi(x^{\prime}_n)\]となる\(S\)の点列\((x^{\prime}_n)\)が存在すると仮定する: \begin{align*} &\forall\epsilon>0\exists n_1\in \mathbb{N}\left[n>n_1 \Rightarrow d^{\ast}(\varphi(x_n),x^{\ast})<\frac{\epsilon}{3}\right]\\ &\forall\epsilon>0\exists n_2\in \mathbb{N}\left[n>n_2 \Rightarrow d^{\ast}(\varphi(x^{\prime}_n),x^{\ast})<\frac{\epsilon}{3}\right] \end{align*} このとき,示すべきことは\[\tilde{x}^{\ast}=\lim_{n \to \infty}\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n)\]すなわち\[\forall\epsilon>0\exists n^{\prime}_0\in \mathbb{N}\left[n>n^{\prime}_0 \Rightarrow \tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n),\tilde{x}^{\ast})<\epsilon\right]\]である.この示すべき\(n^{\prime}_0\)は\[n^{\prime}_0=\max\{n_0,n_1,n_2\}\]である.実際,\(\mathrm{(ii)}\)により \begin{align*} &d(x^{\prime}_n,x_n)=d^{\ast}(\varphi(x^{\prime}_n),\varphi(x_n))\\ &d(x^{\prime}_n,x_n)=\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n),\tilde{\varphi}(x_n)) \end{align*}に注意すれば,\(n>n^{\prime}_0\)のとき,
\begin{align*}
\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n),\tilde{x}^{\ast})\leq&\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x^{\prime}_n),\tilde{\varphi}(x_n))+\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x_n),\tilde{x}^{\ast})\\
=&d^{\ast}(\varphi(x^{\prime}_n),\varphi(x_n))+\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x_n),\tilde{x}^{\ast})\\
\leq&d^{\ast}(\varphi(x^{\prime}_n),x^{\ast})+d^{\ast}(x^{\ast},\varphi(x_n))+\tilde{d}^{\ast}(\tilde{\varphi}(x_n),\tilde{x}^{\ast})\\
<&\frac{\epsilon}{3}+\frac{\epsilon}{3}+\frac{\epsilon}{3}\\
=&\epsilon
\end{align*}

証明終

数学の成績を上げるために「初見の問題を次々と浴びるように演習すればいい」と考えている人は少なくなくありません。1回見ただけあるいは解いただけで内容を理解しかつ覚えられる頭脳の持ち主ならば確かにそれが最善の勉強法だと思います。が,高くないレベルでもがいている時点で少なくともそのタイプには当てはまらない。いわゆる普通の生徒がそのような勉強をしても,勉強した気になるだけで右の耳から左の耳,知識が頭に残らず何の意味もない。「考える力がつくから」と思うかもしれませんがそれも実質的には意味がない。その「考える力」なるものも知識を土台にして成り立つものだからです。そして試験というのはこの意味で「頭の中の知識を吐き出す場」であって,当然ながらないものは出せず,点数にすら結びつかない。

だから,数学の勉強をする際はこれと決めた本で,しかも新しい問題ではなく同じ問題を出来るようになるまで繰り返し,まず必要な知識(何を知っていれば/どう考えれば解けたのか,間違えたのであればその原因は何だったのか,等々)を頭に定着させることが最初の一歩だと僕は考えています(もちろん,必然性を伴って!)。その地道な作業の過程で長い時間がかかるものの確実に点数は上がっていく。

そしてこの解き直しという周回作業には強力な副産物がある。いやむしろ「数学」の学習という意味ではこっちが主産物かも知れない。

それは「分からなかったところが分かるようになる」「自分の過去の理解や解釈の誤りに気付く」「新たな疑問(=新たな視点)が得られる」ということ…総じて,「理解が深まる」ことだ。

卑近な例だけど上での証明もそう。僕は粘りに粘ってもどうしても理解できないところは泣く泣く理解を保留し,付箋を貼っておいて未来の自分に希望を託している。その付箋の箇所のひとつを,最近,改めて考えたら上のように片付いた。これは自分の成長の証でとても嬉しいことだし,なにより自信がつく。少なくとも数学はこのような姿勢で学ぶことが重要と思う。

数学で点数がとれないと悩んでいる人は,頭の中に知識を入れなければ何も始まらないという現実にまず向き合おう。そのために,あれこれと問題を食い散らかさず,できなかった問題を出来るようになるまで繰り返し解こう。分からない問題があってももいい。いずれわかる。そうして本が手垢でボロボロになるまで読み込もう。

学校であれ予備校であれ塾であれ,なんとなく授業をうけてなんとなく解いていても残念ながら成績が上がることはない。

覚悟を決めよう。

実験する

次の\(2\)つの条件\(\mathrm{(i),(ii)}\)をみたす自然数\(n\)について考える.

\(\mathrm{(i)}~\)\(n\)は素数ではない.
\(\mathrm{(ii)}~\)\(l,m\)を\(1\)でも\(n\)でもない\(n\)の正の約数とすると,必ず\[|l-m|\leq 2\]である.このとき,次の問いに答えよ.

    1. \(n\)が偶数のとき,\(\mathrm{(i),(ii)}\)をみたす\(n\)をすべて求めよ.
    2. \(n\)が\(7\)の倍数のとき,\(\mathrm{(i),(ii)}\)をみたす\(n\)をすべて求めよ.
    3. \(2\leq n \leq 1000\)の範囲で,\(\mathrm{(i),(ii)}\)をみたす\(n\)をすべて求めよ.

(大阪大)

うーん/(^o^)\
なんかよくわからないので,実験してみます。

(考え方)

\(\textbf{1.}\)
偶数\(2,4,6,8,\cdots\)を順に調べてみます。

するとどうやら,\(n\)が\(10\)以降だと適するものが現れないのでは?と予想できます。そこで,「\(n\geq 10\)ならば\(n\)は\(\mathrm{(i),(ii)}\)を満たさない」という命題の証明を試みます。実際,\(n=2k~(k\geq 5)\)とおくと,\(2\)と\(k\)は\(n(=2k)\)の\(1\)でも\(n\)でもない正の約数ですが,\[|k-2|=k-2\geq 5-2 =3\]となり\((\mathrm{ii})\)を満たしません。

これで\(1.\)の答えは\(4,6,8\)のみであることが分かりました。

\(\textbf{2.}\)
これも\(1.\)と同様に考えてみます。ただし\(n\)が偶数の場合は\(1.\)ですでに調べているので,これを除いて調べていきます:

すると\(n\)が\(63\)以降だと適するものが現れないのでは?と予想できます。そこで「\(n\geq 63\)ならば\(n\)は\(\mathrm{(i),(ii)}\)を満たさない」という命題の証明を試みると:

\(n=7k~(k\geq 9)\)とおく.\(k=9\)とき,\(n=63\)より正の約数は\(1,3,7,9,21,63\)だから\((\mathrm{ii})\)を満たさない.\(k \geq 11\)のとき,\(7\)と\(k\)は\(n(=7k)\)の\(1\)でも\(n\)でもない正の約数だが,\[|k-2|=k-2\geq 11-2 =9\]となり\((\mathrm{ii})\)を満たさない.

これで\(2.\)の答えは\(35\)と\(49\)のみであることが分かりました。

\(\textbf{3}.\)
上と同じように考えれば,\(n\)が\(3\)の倍数のとき,\(5\)の倍数のときも同じように\(\mathrm{(i),(ii)}\)を満たす\(n\)が簡単に見つかる気がします。もしそうであれば,結局\(2,3,5,7\)の倍数についてはすべて調べ上げたことになるので,調べるべき残りの\(n\)は(\(\mathrm{(i)}\)より\(n\)は素数でないことに注意すれば)\(11\)以上の素因数からなる合成数のみ調べればよいことが分かります(エラトステネスのふるい)。また,その合成数の因数の個数に着目すれば,因数の個数が\(1\)個のとき素数になるから\(\mathrm{(i)}\)を満たさず,因数の個数が\(3\)個以上のときは最小でも\(11^{3}=1331\)となり\(1000\)を超えてしまうことから,(素)因数の個数は\(2\)個であることが分かります。さらに,\(37 \times 37 =1369>1000\)より,\(37\)以降の素数については考える必要はありません。以上の考察から以下のように結論できます:

\(n\)が\(3\)の倍数の場合
\(2,7\)の倍数のときはすでに調べてあり,また\(5\)の倍数の場合はこのあと調べるのでこれらを除いて調べると

求める\(n\)は\(9\)のみであることが分かる(証明は上と同様なので割愛).

\(n\)が\(5\)の倍数の場合

求める\(n\)は\(15\)と\(25\)のみであることが分かる(証明割愛).
あとは素因数が\(11\)以上で\(31\)以下であり,かつその個数が\(2\)個である合成数のみを調べればよい.


するとそれは(\(\mathrm{(ii)}\)に注意して)\[11^2,13^2,17^2,19^2,23^2,29^2,31^2,11\times13,17\times19,29\times 31\]すなわち\[121,169,289,361,529,841,961,143,323,899\]のみであることがわかる.以上により求める\(n\)は\[4,6,8,9,15,25,35,49,121,143,169,289,323,361,529,841,899,961\]となる.

(考え方終わり)

既知の解法にはまらないとき,あるいは既知の解法に帰着しないとき(=何をすればいいのか見通しが立たないとき),「とりあえず実験してみて,予想し,それを証明する」という姿勢はしばしば有効な気がします。(少なくとも泥臭く手を動かすだけで\(2.\)までは答えを導ける!)

tex備忘録

自分のためのノート(emathを置く場所)

  1. コマンドプロンプトを開く(Windowsキー+r→cmdと入力,enter)
    C:\Users\*****
  2. *****の下にtexmfというフォルダを作る
  3. コマンドプロンプトで
    kpsewhich –expand-path=$TEXMF
    と入力しenter
  4. ;の数+1=1ならそこを★とおき,6.へ
    ;の数+1>1ならコマンドプロンプトで
    kpsewhich –expand-path=$TEXMFHOME
    と入力しenter
  5. 返ってくるもの(3.の結果でみた〇;△;□のどれか)を★とおく
  6. コマンドプロンプトで
    kpsewhich –progname=platex jarticle.cls
    と入力しenter
  7. …/texmf/☆☆☆/☆☆☆/base/…
    または
    …/texmf-dist/☆☆☆/☆☆☆/base/…
    と表示される
  8. 置き場所は
    ★/☆☆☆/☆☆☆/misc/emath
    (フォルダmisc,emathは新規に作成する)
  9. ここにsty.zipを解凍して得られるファイルをすべて置く

★P106

…その場合,\((W_{\lambda},\leq _{\lambda}),(W_{\lambda^{\prime}},\leq _{\lambda^{\prime}})\)のいずれか一方は他方の切片,したがって部分順序集合であるから…

 

松坂先生の集合・位相入門,理解できない箇所はところどころあるけどここもその一つ。周回後のレベルアップした(であろう)自分に期待するんだけど読むたびにやっぱりなんか釈然としない。多分しょーもないことなんだろうけど…。色々考えた末,以下の理解に落ち着いた:

理解

たとえば\((W_{\lambda},\leq _{\lambda})\)が\((W_{\lambda^{\prime}},\leq _{\lambda^{\prime}})\)の切片であるとする.切片\[(W_{\lambda^{\prime}},\leq _{\lambda^{\prime}})\langle a \rangle(= \{x|x \in W_{\lambda^{\prime}},x \leq_{\lambda^{\prime}} a\})\]これ自体は(あくまで\(W^{\prime}\)の元から順序\(\leq_{\lambda^{\prime}}\)で\(a\)よりも小さい元を集めたものに過ぎないから)ただの\(W_{\lambda^{\prime}}\)の部分集合であり,順序は定義されていない.しかし,一般に,順序集合\(A\)の空でない任意の部分集合\(M\)は,順序が与えれれていなくても,「\(A\)における順序を\(M\)上に制限した」と考えることで\(A\)と同じ順序が与えれられる(※).したがって,部分集合\((W_{\lambda^{\prime}},\leq _{\lambda^{\prime}})\langle a \rangle\)は順序集合\[((W_{\lambda^{\prime}},\leq _{\lambda^{\prime}})\langle a \rangle , \leq_{\lambda^{\prime}})\]となる.これが\((W_{\lambda},\leq _{\lambda})\)に等しいから\[\leq_{\lambda^{\prime}}=\leq _{\lambda}\]となる.

理解終

※は89,90ページの部分順序集合についての記述から判断したもののちょっと自信ない。
…まあ,さしあたりこの理解でいいや^^;

★P263(問題4の一部)

\[\forall \epsilon >0 \exists \delta >0[d^{\prime\prime}(x,y) \Longrightarrow d(x,y)<\epsilon]\]を示せ.ただし,\(d^{\prime\prime}(x,y):=\min\{1,d(x,y)\}\)

証明

与えられた\(\epsilon\)が\(\epsilon < 1\)であれば\(\delta = \epsilon\)と定め,\(\epsilon \geq 1\)であれば\(\delta = \delta^{\prime} < 1 (\leq \epsilon)\)と定めればよい.以下,それを確かめる.

\(\epsilon < 1\)のとき:
\(d^{\prime\prime}(x,y):=\min\{1,d(x,y)\}<\epsilon \).\(1 \leq d(x,y)\)とすれば\(\min\{1,d(x,y)\}=1<\epsilon\)となり矛盾.したがって\(1>d(x,y)\)である.このとき,\(\min\{1,d(x,y)\}=d(x,y)<\epsilon\)

\(\epsilon \geq 1\)のとき:
\(d^{\prime\prime}(x,y):=\min\{1,d(x,y)\}<\delta^{\prime}(<1)\).\(1 \leq d(x,y)\)とすれば\(\min\{1,d(x,y)\}=1<\delta^{\prime}<1\)となり矛盾.したがって\(1>d(x,y)\)である.このとき\(\min\{1,d(x,y)\}=d(x,y)<\delta^{\prime}<1\leq \epsilon\)より\(d(x,y)<\epsilon\)

証明終

多分簡単な問題だと思うんですけど任意に与えられた正数\(\epsilon\)をそのままで\(\delta\)探しして結構時間がかかってしまった…

これ記法や表現を適当に変えれば高校生向けの論理の問題に出来る気がします。

英語学習

英語を勉強しています。もちろんこれが初めての英語学習ではなく,遡ればDUO3.0で英文ごと英単語を覚え,富田一彦先生や薬袋善朗先生の本で文法を学んできました。文法は数学と一緒で一度理解してしまうとなかなか忘れない。実際,適当な文を読んでみても文の構造を判断するのに大きく困ることはほぼない(=読める)のでひとまず安心。では単語は…?というとこれもなかなか忘れていない!10代の若いときにがっつり記憶しておくってほんと大事!…とはいえその単語力もせいぜい大学受験レベルなので,リハビリを兼ねつつももっと上の語彙力を身に付けたいと思い,教材に選んだのがZ会の単語帳『Core 1900』。

まあ勉強,とは言っても,進度は一日150ワードくらいの文章を一日一つ,気分次第で二つというゆるいペース。ゆるくないとほんと続かないので!(その代わり毎日欠かさず)。でも,そのゆるさのおかげで難なく一周終わり(5/5時点)。ゆるい勉強ってやっぱいい。

今から2週目に入りつつ,同時進行で同じくZ会の『Opinion 1200』を進めようとおもいます。英文の構造を調べたりそれを大きな声で音読するのは数学の息抜きとしてもいい感じです。

数学記号の読み方

\[\overrightarrow{a}\]を「エーベクトル」と読む生徒が少なくありません。もちろん,これは学校でそのように習ったからでしょう。実際,僕が学校で教えていたときもそのように読む先生がいました。しかし,例えば「\(f(x)\)」を「かんすうエフエックス」,「\(n\in \mathbb{N}\)」を「しぜんすうエヌ」などと読むのに,\(\overrightarrow{a}\)だけ「エーベクトル」と読むのはおかしくはないだろうか?すごく違和感。まあ,結局伝わればいいわけだし間違いではないのかもしれないけど…ただ読み方ひとつでいろいろ察しちゃうのである程度気を遣った方がいいと個人的に思います。先々の数学へ違和感なく接続するためにも。

他にも,\[f'(x)\]は大抵「エフダッシュエックス」と読むひとがほとんどだと思うけどこれは「エフプライムエックス」と読むべき。本来\(\prime\)は「プライム」という記号であり,「ダッシュ」は「-」という記号。だから「エフダッシュ」だと「\(f\)-」になると思うんだけど…。高校数学ではなぜか「ダッシュ」と「プライム」のこの誤用が慣例になっている。謎。

(追記。『ブレードランナー2049』という映画を日本語吹き替えで見ていたら「捜査官 ケー ディー シックス ダッシュ スリー ドット セブン」というセリフがあったので日本語字幕,英語音声でそれぞれ確認してみると「捜査官 KD63.7」「Officer K D six dash three dot seven」でした)

あとは大文字,例えば\[A\]は「ラージエー」ではなく「キャピタルエー」と読むべきだと思う。

上の例で思い出したけど「関数」って写像のことだから「関数\(f\)」なら分かるけど「関数\(f(x)\)」ってなんかおかしくない??って気もしますが…とはいえその辺突っ込み出すとさすがに不便なのでここはアバウトに認めていいと思いますが。

他にも探せばいろいろありそう(僕自身の誤読・誤用も含め)。中高の数学ってなぜかこの種の「方言」があったりするのでこういうのは専門家(大学の先生)に聞くのが理想ですね。なかなか機会がないけど。

追記。あと母集団の大きさを「母数」と呼ぶのをしばしば耳にしますがこれ聞くたびになんかゾワゾワする。母数は平均\(\mu\)や分散\(\sigma^2\)など母集団における未知のパラメータを指す言葉だと思います…。

以上日常のちょっと気になることでした。

 

平面の方程式

平面の方程式を作ってみます。

ここでは,平面はその平面の垂直方向とその平面が通る1点が定まれば決定することに着目します。平面の法線ベクトルを\(\overrightarrow{n}=(a,b,c)\),平面が通る1点の座標を\(A(a_0,b_0,c_0)\),平面上の任意の点を\(P(x,y,z)\)とおくことにします。\begin{align*}
&\overrightarrow{AP} \cdot \overrightarrow{n} = 0\\
\Longleftrightarrow~ &\left(\begin{array}{c} x-a_0 \\ y-b_0 \\ z-c_0 \end{array}\right)\cdot\left(\begin{array}{c} a \\ b \\ c \end{array}\right)= 0\\
\Longleftrightarrow~ &a(x-a_0)+b(y-b_0)+c(z-c_0)=0\\
\Longleftrightarrow~ &ax+by+cz-aa_0-bb_0-cc_0=0\\
\Longleftrightarrow~ &ax+by+cz+d=0
\end{align*}よって,平面の方程式は\(ax+by+cz+d=0\)と書けること,そしてその法線ベクトルが\((a,b,c)\)で表されることが分かりました(途中,\(-aa_0-bb_0-cc_0=d\)とおきました)。直線の方程式が\(ax+by+c=0\)と書けること,そしてその法線ベクトルが\((a,b)\)で表されることにそっくりですね。

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