「分からない」の大切さ

\(11^{10}\)を\(9\)で割った余りを求めよ.

合同式の問題でよく見る問題です。

解答

\begin{align*}
11^{10}&\equiv 2^{10}\\
&\equiv 2\cdot 2^9\\
&\equiv 2\cdot 8^3\\
&\equiv 2\cdot (-1)^3\\
&\equiv -2\\
&\equiv 7 \pmod 9
\end{align*}よって\[11^{10}\equiv 7 \pmod 9\]したがって求める余りは\(7\)

解答終

授業でこの解説をしたところ「\(\equiv\)を\(=\)の同じような使い方をしてよいのかどうかがいまいちしっくりこない」という感想が。そう言われてみれば確かにこの解説はちょっと乱暴過ぎます(理解に必要な準備が足らない)。以下,この解答の理解のために知識を追加します。

まず一つ目。\[a_1 \equiv a_2 \equiv a_3 \equiv \cdots \equiv a_n \pmod p\]を\[a_1 \equiv a_2 \pmod p,~a_2 \equiv a_3\pmod p,~\cdots~,a_{n-1} \equiv a_n \pmod p\]を意味するものと規約します。これはただの記法なので問題なし。

二つ目。\[a_1 \equiv a_2 \equiv a_3 \equiv \cdots \equiv a_n \pmod p~\text{ならば}~a_1 \equiv a_n \pmod p\]であることを確認します。これは結局,次の性質(推移律)があるのか?という問題に帰着します。

\[a\equiv b\pmod p \land b \equiv c \pmod p \Longrightarrow a\equiv c \pmod p\]

証明

仮定により\(a-b=pk,b-c=pk^{\prime}\Longleftrightarrow a=b+pk,~b=c+pk^{\prime}\).このとき,
\begin{align*}
a-c&=b+pk-c\\
&=c+pk^{\prime}+pk-c\\
&=p(k^{\prime}+k)
\end{align*}よって\[a\equiv c\pmod p\]

証明終

以上により,上の解答の式は
\begin{align*}
&11^{10}\equiv 2^{11}\pmod 9\\
&2^{11}\equiv 2\cdot 2^9\pmod 9\\
&2\cdot2^9\equiv 2\cdot 8^3\pmod 9\\
&2\cdot 8^3\equiv 2\cdot (-1)^3\pmod 9\\
&2\cdot (-1)^3\equiv -2\pmod 9\\
&-2\equiv 7 \pmod 9
\end{align*}を意味し,上で示した性質(推移律)を繰り返し適用することにより\(11^{10}\equiv 7 \pmod 9\)という結論が得られることになります(つまりこの解答の略記が上の解答)。

「わからない」「しっくりこない」という素直な感覚は,理解を深めるひとつの起点であると改めて思ます。

 

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