\(A.\)(答え)

中学生や高校入りたての1年生の解答を見ていてものすっごい気になることがあります.それは,答えを\(A.\)と書くこと….僕はいいたい.

答えを\(A.\)と書くのはやめましょう

と.理由は3つ….

理由1
答案において文字を使う以上,その文字が何を表しているのかは明確に定義しておかねばなりません.では,\(A.\)とは一体何を表しているのでしょうか?\(A\)という文字の明確な定義がないということがまず問題です.…いや「常識的に」考えれば\(Answer\)の略だろ,と言われそうですが,その「常識」とは誰の常識でしょうか?それ,中学校特有のローカルルールに過ぎないのでは…?実際,答えを\(A.\)と書いている数学書,いや高校参考書ですら僕は一度も目にしたことがないのですが…(数学書にいたってはそもそも「問題」と「答え」という形式すら少なくなってきますが).つまり,定義していない以上,これは意味不明な文字,と言わざるを得ないわけです.なので,どうしても使いたいのなら,答案用紙の一番最初に「以下,答えを\(A.\)で表すことにする.」と一言宣言して文字\(A.\)を定義すべきと僕は思います.

理由2
とはいえ,上のように冒頭で定義するにしても,\(A.\)と表記するのはやっぱりよくないと思う.なぜなら,数学において\(A\)という英文字が登場するシーンは沢山あるから.座標平面または空間上の点を\(A\)とおくのは毎度のことだし,数式を処理する際は‘カタマリ’を\(A\)とおいたり,式番号として\(A\)を使ったりもする.幾何では頂点を\(A\)とおくし,集合では集合そのものを\(A\)で表し,確率では事象(これも集合ですが)を\(A\)と表したり….などなど.これらの際,答えを\(A.\)などと書いたりしたら,\(A\)という文字に二重の意味を持たせることになり,非常に気持ち悪い,どころか記述としては非常にまずい.…というか,ここまで理由2で出てきた\(A\)という英文字を俯瞰してみてください.数学的な意味をもつ\(A\)と答えという意味しかもたない\(A\),見分けつかないでしょ?それだけでもう気持ち悪くない?

理由3
さらに,数学では先に進むにつれていろいろな文字を使うようになります.中学では高々英文字程度(+ギリシャ文字\(\pi\))?ですが,その後高校へと進めば英文字の小文字大文字のみならず一部ギリシャ文字,さらに大学へ進めばギリシャ文字はほとんどすべて使うし,大文字もよく見られるようなる.英文字もそれまで用いていたブロック体だけではなくボールド体や花文字で登場したり,さらにはドイツ文字まで使ったり.そんな多種多様な文字を使っていく中,一番馴染み深いブロック体の英文字\(A\)に「答え」なんて役割を担わせるのはなんというかものすごい文字の無駄遣いな気がするのです.

というわけで,中学生の皆さん,はっきりと「間違いだよ」とは言いづらいけど,答えを\(A.\)で書くのはなるべく避けた方がいいですよ.いまいまはいいかもしれないけど,将来的なことを考えるとね.

 

© 2022 佐々木数学塾, All rights reserved.