メネラウスの定理の逆

メネラウスの定理とは,

三角形\(\mathrm{ABC}\)の\(2\)つの辺上と他の\(1\)辺の延長上に点\(\mathrm{P,Q,R}\)をとる(※).ここでは
点\(\mathrm{P}\)を辺\(\mathrm{BC}\)の延長上の点,\(\mathrm{R,Q}\)をそれぞれ辺\(\mathrm{AB,AC}\)上の点であるとする.

という仮定のもとで(※ 簡単のために「点\(\mathrm{P,Q,R}\)がすべて各辺の延長上の点である場合」は除いて考えることにします。),

\begin{align*}
&\text{点\(P,Q,R\)は一直線上に存在する}\Longleftrightarrow~\frac{RB}{AR}\cdot\frac{PC}{BP}\cdot\frac{QA}{CQ}=1
\end{align*}

が成り立つ,というものでした。問題では(\(\Rightarrow\))で使うことが圧倒的に多いのですが,まれに(\(\Leftarrow\))で使うことがあります。問題集等では唐突に出てきますがその証明は載ってないことが多いので以下に示します。

証明

(\(\Rightarrow\)の証明は有名なので割愛)

(\(\Leftarrow\)の証明)
直線\(\mathrm{RQ}\)が直線\(\mathrm{BC}\)と交わる点を\(\mathrm{P^{\prime}}\)とする.

メネラウスの定理(上で証明済み)により,
\[\frac{RB}{AR}\cdot\frac{P^{\prime}C}{BP^{\prime}}\cdot\frac{QA}{CQ}=1\tag{1}\]
仮定により\[\frac{RB}{AR}\cdot\frac{PC}{BP}\cdot\frac{QA}{CQ}=1\tag{2}\]
\((1)\)により\[\frac{RB}{AR}\cdot\frac{QA}{CQ}=\frac{BP^{\prime}}{P^{\prime}C}\]

これを\((2)\)に代入すると
\begin{align*}
\frac{PC}{BP}\cdot\frac{BP^{\prime}}{P^{\prime}C}=1\Longleftrightarrow~&\frac{PC}{BP}=\frac{P^{\prime}C}{BP^{\prime}}\\
\Longleftrightarrow~&BP:PC=BP^{\prime}:P^{\prime}C
\end{align*}
よって\(P=P^{\prime}\).ゆえに\(P,Q,R\)は一直線上に存在する.

証明終

  • メネラウスの定理は一般的には高校で習いますが,学校によっては中学でも扱います。これを使うことで妙な(?)補助線を思いつく必要がなくなったりします。
  • 上のように中学幾何は論理(必要性・十分性)を学ぶ絶好の機会…と思うのだけど学習の際はそこはあまり強調されないようです。証明に至っては「証明は型にはめる作業だ」と教わることもあるそうな…
  • チェバの定理の逆も同じようにして証明できます。
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