加法定理の証明

ななんだって!加法定理忘れた?!サイタコスモスどーのこーの?あーやめやめ。作りましょう。教科書には詳しく書いてありますが,それをここで繰り返してもつまらないのでちょっと違う証明を考えてみます。

加法定理\[\sin(\alpha \pm\beta)=\sin\alpha \cos\beta \pm \cos\alpha \sin\beta\]\[\cos(\alpha \pm \beta)=\cos\alpha \cos\beta \mp \sin\alpha \sin\beta\]

証明

単位円周上に下図のような点\(\mathrm{P}\)があったとします.

ここに,基本ベクトル\(\overrightarrow{e_1}=\left(\begin{array}{c} 1 \\ 0 \\ \end{array} \right),\overrightarrow{e_2}=\left(\begin{array}{c} 0 \\ 1 \\ \end{array} \right)\)をそれぞれ原点を中心に\(\alpha\)だけ回転させたベクトル\(\overrightarrow{\mathrm{OA}},\overrightarrow{\mathrm{OB}}\)を考え,図示します.\(\mathrm{A}(\cos\alpha,~\sin\alpha),~\mathrm{B}(\cos\left(\frac{\pi}{2}+\alpha\right),~\sin\left(\frac{\pi}{2}+\alpha\right))\)ですから,それらの成分は\[\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\left(\begin{array}{c} \cos\alpha \\ \sin\alpha \\ \end{array} \right),\quad\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\left(\begin{array}{c} \cos\left(\frac{\pi}{2}+\alpha\right) \\ \sin\left(\frac{\pi}{2}+\alpha\right) \\ \end{array} \right)=\left(\begin{array}{c} -\sin\alpha \\ \cos\alpha \\ \end{array} \right)\]です.

この\(\overrightarrow{\mathrm{OA}}\),\(\overrightarrow{\mathrm{OB}}\)を基底とする新たな座標系の下でこの点\(\mathrm{P}\)を捉え直します.この新座標系における図の点\(\mathrm{P}\)の座標は,\((\cos\beta,~\sin\beta)\),すなわち\[
\begin{align*}
\overrightarrow{\mathrm{OP}}
&=\cos\beta\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\sin\beta\overrightarrow{\mathrm{OB}}\\
&=\cos\beta\left(\begin{array}{c} \cos\alpha \\ \sin\alpha \\ \end{array} \right)+\sin\beta\left(\begin{array}{c} -\sin\alpha \\ \cos\alpha \\ \end{array} \right)\\
&=\left(\begin{array}{c} \cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta \\ \sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta \\ \end{array} \right)
\end{align*}\]です.

さらにこれは,
\begin{align*}
\overrightarrow{\mathrm{OP}}&=\left(\begin{array}{c} \cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta \\ \sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta \\ \end{array} \right)\\
&=(\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta)\left(\begin{array}{c} 1 \\ 0 \\ \end{array} \right)+(\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta)\left(\begin{array}{c} 0 \\ 1 \\ \end{array} \right)\\
&=(\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta)\overrightarrow{e_1}+(\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta)\overrightarrow{e_2}
\end{align*}
これは,点\(\mathrm{P}\)が,\(\overrightarrow{e_1},\overrightarrow{e_2}\)を基底とする(いつもの)座標系においてその座標が\[(\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta,\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta)\tag{1}\]であることを示しています.

他方,\(\overrightarrow{e_1},\overrightarrow{e_2}\)を基底とする座標系における点\(\mathrm{P}\)の座標は\begin{align*}\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\left(\begin{array}{c} \cos(\alpha+\beta) \\ \sin(\alpha+\beta) \\ \end{array} \right)=&\cos(\alpha+\beta)\left(\begin{array}{c} 1 \\ 0 \\ \end{array} \right)+\sin(\alpha+\beta)\left(\begin{array}{c} 1 \\ 0 \\ \end{array} \right)\\ =& \cos(\alpha+\beta)\overrightarrow{e_1}+\sin(\alpha+\beta)\overrightarrow{e_2}\end{align*}より\[(\cos(\alpha+\beta),\sin(\alpha+\beta))\tag{2}\]であったから,\((1),(2)\)によって

\begin{eqnarray}
\begin{cases}
\cos(\alpha+\beta) = \cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta & \\
\sin(\alpha+\beta) = \sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta &
\end{cases}
\end{eqnarray}

が得られます.

証明終

説明しながらの記述なので面倒くさく見えるかもしれませんが,実際やってみると計算らしい計算なしにすぐに作れます。おすすめ。ちなみに\(\alpha-\beta\)の場合については上で得られた式の\(\beta\)を\(-\beta\)に変えれ直ちに手に入ります。(関連:斜交座標

サイタコスモスコスモスサイタって覚え方を初めて聞いたとき「コスモスサイタサイタコスモスでも通じるじゃん,覚え方として全く意味なくね…?」と思ったし今でもそう思う。

三角不等式

次の不等式を証明せよ.
\[\displaystyle \sum_{i=1}^{n}|x_i+y_i|^p \leq \sum_{i=1}^{n}|x_i||x_i+y_i|^{p-1}+\sum_{i=1}^{n}|y_i||x_i+y_i|^{p-1}\]

高校数学の範囲的には数学Ⅰ(絶対値),数学Ⅱ(不等式の証明,三角不等式),数学B(シグマ計算)あたりかな?

証明
\begin{align*}
|x_i+y_i|^p = &|x_i+y_i||x_i+y_i|^{p-1} \\
\leq &(|x_i|+|y_i|)|x_i+y_i|^{p-1}\\
= &|x_i||x_i+y_i|^{p-1}+|y_i||x_i+y_i|^{p-1}
\end{align*}

この不等式の\(i\)を\(i=1 \cdots n\)とかえて辺々加えて\[\displaystyle \sum_{i=1}^{n}|x_i+y_i|^p \leq \sum_{i=1}^{n}|x_i||x_i+y_i|^{p-1}+\sum_{i=1}^{n}|y_i||x_i+y_i|^{p-1}\]を得る.

証明終

Minkowskiの不等式の証明で使うのでここにnoteしておきます。

高校数学の証明問題としても使えると思いますが三角不等式って高校数学ではそれほど使用頻度が高くないので意外と詰まっちゃう高校生も多い気がします。

2次方程式が異符号の解をもつための条件

チャート式なんかによくみる解法

\(2\)次方程式\(f(x)=0\)が異なる\(2\)つの正の解をもつ\(~\Longleftrightarrow D>0,\alpha+\beta >0,\alpha\beta > 0\)
\(2\)次方程式\(f(x)=0\)が異なる\(2\)つの負の解をもつ\(~\Longleftrightarrow D>0,\alpha+\beta <0,\alpha\beta < 0\)
\(2\)次方程式\(f(x)=0\)が異符号の解をもつ\(~\Longleftrightarrow \alpha\beta < 0 \)

これを見てふと思う。最後のだけなんで\(D>0\)がないの?と。補足をよく見ると「このとき,\(D>0\)は成り立っている」と小さく書いてある。ここ,ちょっと疑問をもちつつも「まあそういうもんなんだろ~」程度のゆるい理解で済ませているひとも少なくないと思います。でも,ここをちゃんと確認しないまま結果だけ使うというのは,理由を納得しないまま覚えるということで,数学としてはその姿勢はちょっと不安です。

証明してみます。以下,\(\alpha,\beta\)を\(2\)次方程式\(f(x)=0\)の解とします。

証明

\(2\)次方程式\(f(x)=0\)が異符号の解をもつとする.
\begin{align*}
&~\text{\(2\)次不等式\(f(x)=0\)が異符号の解をもつ}\\
\Longleftrightarrow &~D>0 \land ((\alpha > 0 \land \beta < 0) \lor (\alpha < 0 \land \beta > 0))\\
\Longleftrightarrow &~D>0 \land \alpha\beta < 0\\
\Longrightarrow &~\alpha\beta < 0 \quad\text{※ 必要条件}
\end{align*}よって,\[\text{\(2\)次不等式\(f(x)=0\)が異符号の解をもつ}\Longrightarrow ~\alpha\beta < 0\]が成り立つ.逆に,\(\alpha\beta < 0\)とする.
\begin{align*}
\alpha\beta=\frac{c}{a}<0 \Longleftrightarrow~& ac<0\\ \Longleftrightarrow~& -4ac > 0\\
\Longrightarrow~& b^2-4ac > 0 \quad\text{※ 必要条件}\\
\Longleftrightarrow~& D > 0
\end{align*}ゆえに,
\begin{align*}
\alpha\beta < 0 \Longrightarrow~&D>0 \land \alpha\beta < 0\\
\Longleftrightarrow~&\text{\(2\)次不等式\(f(x)=0\)が異符号の解をもつ}
\end{align*}以上により,\[\text{\(2\)次不等式\(f(x)=0\)が異符号の解をもつ}\Longleftrightarrow~\alpha\beta < 0\]が示された.

証明終

判別式と解と係数の関係どーのこーのがこの分野のテーマだと思うんですが,そんなことより補足として小さく書かれたこっちの議論の方が大事だし面白いと個人的に思います^^;

そもそも,教科書や教科書準拠問題集はそもそもこの辺の論理にはあまり深入りしない傾向がある気がします。卑近な例ですが例えば「判別式は\(D\)じゃなくて\(\frac{D}{4}\)を使うと計算が楽だよ!」とか。これだって,「判別式はあくまで\(D\)であって,\(\frac{D}{4}\)だなんて勝手に\(\frac{1}{4}\)しちゃだめだろ」と思いませんでしたか…?僕は思ったなあ。実際楽なので正当性も確かめずに使ってましたが。まあともかくこれだって,なんのことはない,\begin{align*}D > 0 \Longleftrightarrow \frac{D}{4}>0\\
D = 0 \Longleftrightarrow \frac{D}{4}=0\\
D < 0 \Longleftrightarrow \frac{D}{4} <0\\ \end{align*}ということに過ぎず,したがって例えば\(\frac{D}{4}>0\)を変形して得られる結論は,\(D>0\)と同値であるわけです。だから\(\frac{D}{4}>0\)で考えてよい,という。

もっとも,細かいことは気にせずとりあえず使えるように(=問題が解けて,点数がもらえるように)なることを目指し,その後改めて,細部を振り返り精査していく…という勉強法は難しい内容を学びとるためのひとつの有効な姿勢であり,決して否定はできません。あまり細かいことを言うと敷居が高くなったり(※誤用の方),あるいは深入りしすぎて手段と目的が逆転してしまったりといいことばかりではありませんしね。どう導入するのか,というのは難しいところです。

増減表のかきかた2

\(f(x)=x(\log x)^2-2x\log x +\frac{3}{2}x -1~(1\leq x \leq e)\)の最大値と最小値を求めよ.

\begin{align*}
f^{\prime}(x)=&1\cdot (\log x)^2+x\cdot 2(\log x)\frac{1}{x}-2\left(\log x+x\cdot \frac{1}{x}\right)+\frac{3}{2}\\
=&(\log x)^2+2\log x-2\log x-2+\frac{3}{2}\\
=&(\log x)^2-\frac{1}{2}
\end{align*}
\(f^\prime(x)=0\)を解くと,\begin{align*}
&(\log x)^2-\frac{1}{2}=0\\
\Longleftrightarrow &~\left(\log x -\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\left(\log x +\frac{1}{\sqrt{2}}\right)=0\\
\Longleftrightarrow &~\log x = \frac{1}{\sqrt{2}}\\
\Longleftrightarrow &~x=e^{\frac{1}{\sqrt{2}}}
\end{align*}
さて,増減表ですが,例の「\(f(x)=0\)を満たす\(x\)を挟む\(x\)を代入して調べる」方法をとるとすれば,\(1\leq x \leq e^\frac{1}{\sqrt{e}}\)そして\(e^\frac{1}{\sqrt{e}} \leq x \leq e\)を満たす\(x\)を見つけ,それを\(f^{\prime}(x)=(\log x)^2-\frac{1}{2}\)に代入するわけですが…そんなことはとてもじゃないがやってられない。

そこで,以下のように考えます:

\begin{align*}
f^{\prime}(x)=&(\log x)^2-\frac{1}{2}=\left(\log x -\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\left(\log x +\frac{1}{\sqrt{2}}\right)
\end{align*}ここで,\(f^{\prime}(x)\)の正負に関わるのは\(\left(\log x -\frac{1}{\sqrt{2}}\right)\)の部分だけですから,この部分だけに着目することにします。ここで前回の「増減表のかきかた」で紹介したように「絵をかく」ことを考えますが,ここでさらに一工夫。着目している\(\log x -\frac{1}{\sqrt{2}}\)を,\(y=\log x\)と\(y=\frac{1}{\sqrt{2}}\)との差,という「2つの関数の差」と見なすことで以下のように視覚化できます。


\(y=\log x\)が‘上’なら正,\(y=\frac{1}{\sqrt{2}}\)が‘上’なら負ですから,結局\(f^{\prime}(x)\)の符号は\(e^{\frac{1}{\sqrt{2}}}\)を境に\(-\rightarrow+\)と変化することが直ちに分かります。

他にも例えば,

\[f(x)=e^x\sin x~(0\leq x \leq \pi)\]

であれば,\(f^{\prime}(x)=e^x(\sin x+\cos x)\)となりますが,これなら\(\sin x-(-\cos x)\)という「関数の差」と見なすことで,以下のように増減の様子が即断できます(しかも\(f^{\prime}(x)=0\)をみたす\(x\)が\(\frac{3}{4}\pi\)であることも分かるというオマケつき)。これを「具体的な\(x\)を代入して調べる」なんていう〇〇なことはやるべきじゃない。


増減表のかきかた(\(f^{\prime}(x)\)の行の埋め方)をまとめると,

増減表のかきかた(\(f^{\prime}(x)\)の行の埋め方)

となります。数学Ⅱにおいては,すべて②のみで片付きます。数Ⅲにおいてもほとんどが②’までで片付きます。

上の例から見て分かる通り,「具体的な\(x\)を代入して調べる」という手法が通用するのはせいぜい教科書の例題までで,やっていることは間違いではないものの,入試問題では応用が効かないのです。だからダメダメなんです。にもかかわらず,こんな手法をドヤ顔で教えるのはいかがなものでしょうかね。皆がそうしてるから,教科書にそう書いてあるから,は理由にならんでしょ…と個人的に思います。

増減表のかきかた1

\(f^{\prime}(x)\)の行をどう埋めていくか(\(f^{\prime}(x)\)の符号をどう調べるか),について見てみます。

\(y=\frac{1}{3}x^3-x^2+1\)のグラフをかけ.

生徒に増減表を書かせると\(f^{\prime}(x)\)の行は十中八九「極値をとる\(x\)を挟む具体的な数を代入して,その正負から判断」しようとします。この例だと

\(f^{\prime}(x)=x^2-2x=x(x-2)\)より極値をとる\(x\)は\(0\)と\(2\),だからここでは\(0\)と\(2\)をはさむ数としてたとえば\(-1,1,3\)を代入して
\[\begin{cases}
f^{\prime}(-1)=(-1)^2-2(-1)=3>0 \\
f^{\prime}(1)=1^2-2\cdot 1=-1<0 \\ f^{\prime}(3)=3^2-2\cdot 3=3>0\end{cases}\]

よって

のように。実際,学校で\(f^{\prime}(x)\)の行の埋め方としてそのように教わっているからだと思いますが,それは控えめに言って悪手です。

ここは\(f^{\prime}(x)\)のグラフを書いて,視覚的に判断するべきです:


このように視覚的に考えれば\(0,2\)を境に\(f^{\prime}(x)\)の符号が正→負→正と変化することが,いちいち面倒な代入計算などせずとも直ちに分かります。ちなみに,増減の様子を下に対応させれば

となります。このように考えると,概形だけ知りたいのならばそもそも増減表すら書く必要がないことも分かります。

さて,なぜ教科書お馴染みの「代入して調べる」という方法がまずいかというと,例えば極値をとる\(x\)が汚い値となる場合,例えば\(y=f(x)=-x^3+6x^2-x+1\)なら\(f^{\prime}(x)=-3x^2+12x-1\)より\(f^{\prime}(x)=0\)を解くと\(x=\frac{6\pm\sqrt{33}}{3}\)となりますが,こんなときでも「(挟む数を探して)代入して調べる」のでしょうか。できなくはないけど相当面倒でしょう。まあ,「面倒」なだけならまだ我慢すれば済むけど,じゃあそもそも与えられた\(f(x)\)に文字(未知数)が含まれていたら?「代入」したって\(f^{\prime}(x)\)の具体的な値が分からないのだから,増減表がかけず,したがってグラフが書けない。グラフが書けないということは視覚的な考察ができないということ。グラフの問題でグラフ書けないんだからほぼ詰み。

まとめると,\(f^{\prime}(x)\)の行は,「代入して調べる」なんて応用のきかない方法は無視して,\(f^{\prime}(x)\)のグラフを書いて判別しましょう,ということでした。

この「\(f^{\prime}(x)\)のグラフを書いてその正負を視覚的に判断する」という手法は,数学Ⅲにおいても(というか数Ⅲでこそ)威力を発揮します。

囲まれる部分の面積 その6


上の曲線と直線で囲まれる部分の面積\(S\)は,いずれの場合も\[S = \frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{12}\]で表される.

証明

\(a>0\)のとき.まず\(\gamma\)を求める.そのためには,\(l_{1}(x),~l_{2}(x)\)を求めて連立すればよい.
\(l_{1}(x)\)を求めるために,\(f(x)-l_{1}(x)\)がどんな関数になるかを考える.これは,

      • \(2\)次式で,
      • 次数が一番大きい項の係数は\(a\)で,
      • \(x=\alpha\)で接している,すなわち\(f(x)-l_{1}(x)=0\)を解いて得られる\(2\)つの解が\(\alpha,\alpha\)である

ことに着目すると,\[f(x)-l_{1}(x) = a(x-\alpha)^2\]とかける.したがって\(l_{1}(x) = f(x) – a(x-\alpha)^2\).同様に考え,\(l_{2}(x) =f(x)- a(x-\beta)^2\).この\(2\)式から,
\begin{align*}
&f(x) – a(x-\alpha)^2 = f(x)- a(x-\beta)^2 \\
\Longleftrightarrow ~& (x-\alpha)^2 = (x-\beta)^2\\
\Longleftrightarrow ~& -2\alpha x +\alpha^2 = -2\beta x +\beta^2\\
\Longleftrightarrow ~& 2(\beta – \alpha) x = \beta^2 – \alpha^2\\
\Longleftrightarrow ~& x = \frac{\alpha + \beta}{2}\\
\end{align*}ゆえに\(\gamma = \frac{\alpha + \beta}{2}\).よって,求める面積\(S\)は,
\begin{align*}
S = \displaystyle &\int_\alpha^\gamma \{f(x)- l_{1}(x)\}dx + \int_\gamma^\beta \{f(x)- l_{2}(x)\}dx\\
=&\int_\alpha^\gamma a(x-\alpha)^2 dx + \int_\gamma^\beta a(x-\beta)^2 dx\\
=&a\left[\frac{(x-\alpha)^3}{3}\right]_\alpha^\gamma + a\left[\frac{(x-\beta)^3}{3}\right]_\gamma^\beta\\
=&\frac{a}{3}\left\{(\gamma-\alpha)^3 – (\gamma-\beta)^3\right\}\\
=&\frac{a}{3}\left\{\frac{(\beta-\alpha)^3}{8} – \frac{(\alpha-\beta)^3}{8}\right\}\\
=&\frac{a}{3\cdot 8}\left\{(\beta-\alpha)^3 + (\beta-\alpha)^3\right\}\\
=&\frac{a(\beta-\alpha)^3}{12}\\
=&\frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{12}
\end{align*}

\(a<0\)のときも同様に計算すると,やはり\(\frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{12}\)となる.

証明終

接線同士の交点が(接点がどのような位置であっても)結局\(\frac{\alpha+\beta}{2}\)で表されることは記憶しておくべきでしょう.

・・・ここまで数Ⅱ範囲で役立つ面積公式を6つ(,6)紹介しましたが,いずれも結果そのものよりもその導出過程の方が重要です.後半の公式になればなるほど使用頻度が低くなるので,当然,使わないがゆえに忘れ易くなる.したがって必要なときに自分で作れるようにしておくべきでしょう.導出過程さえ理解しておけば,「ああなんかそんなのあったなあ」くらいの意識さえあればその場で作れます.なにより使用頻度の低い公式の記憶を維持しようとするのはコスパ悪すぎですから.(テスト直前に付け焼き刃的に覚えるのはいいかな?邪道だけど・・・^^;)

囲まれる部分の面積 その5


上の曲線と直線で囲まれる部分の面積\(S\)は,いずれの場合も\[S = \frac{|a|(\beta-\alpha)^5}{30}\]で表される.

証明

(\(a>0\)の場合)

被積分関数\(f(x)-g(x)\)がどんな関数になるかを考える.これは,

      • \(4\)次式で,
      • 次数が一番大きい項の係数は\(a\)で,
      • \(x=\alpha\)と\(x=\beta\)で接する,すなわち\(f(x)-g(x)=0\)を解いて得られる\(2\)つの解が\(\alpha,\alpha,\beta,\beta\)である

ことに着目すると,\[f(x)-g(x) = a(x-\alpha)^2(x-\beta)^2\]とかける.したがって求める部分の面積は
\begin{align*}
&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} a(x-\alpha)^2(x-\beta)^2 dx \\
=~&\frac{a(\beta-\alpha)^5}{30}\tag{3}\\
=~&\frac{|a|(\beta-\alpha)^5}{30}
\end{align*}

(\(a<0\)の場合)
上と同様に考え,
\begin{align*}
&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} -a(x-\alpha)^2(x-\beta)^2 dx \\
=~&\frac{-a(\beta-\alpha)^5}{30}\tag{3}\\
=~&\frac{|a|(\beta-\alpha)^5}{30}
\end{align*}

以上により,いずれの場合も面積\(S\)は\[\frac{|a|(\beta-\alpha)^5}{30}\]で表されることになる.

証明終

\((3)\)はここの公式有名な定積分によります.

囲まれる部分の面積 その4


上の放物線と直線で囲まれる部分の面積\(S\)は,いずれの場合も\[S = \frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{3}\]で表される.

証明

\(a>0\)の場合と\(a<0\)の場合とで場合を分けて考える.

(\(a>0\)の場合)

被積分関数\(g(x)-f(x)\)がどんな関数になるかを考える.これは,

      • \(2\)次式で,
      • 次数が一番大きい項の係数は\(a\)で,
      • \(\alpha\)が重解,すなわち\(g(x)-f(x)=0\)を解いて得られる\(2\)つの解が\(\alpha,\alpha\)である

ことに着目すると,\[f(x)-g(x)=a(x-\alpha)^2\]とかける.したがって求める部分の面積は
\begin{align*}
\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} a(x-\alpha)^2 dx = &a\left[\frac{(x-\alpha)^3}{3}\right]_{\alpha}^{\beta} = \frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{3}
\end{align*}

(\(a<0\)の場合)

上と同様に考え,
\begin{align*}
\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} -a(x-\alpha)^2 dx = &-a\left[\frac{(x-\alpha)^3}{3}\right]_{\alpha}^{\beta} = \frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{3}
\end{align*}

以上により,いずれの場合も面積\(S\)は\[\frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{3}\]で表されることになる.

証明終

教科書等でもよく見るシチュエーションですが,教科書のように展開してゴチャゴチャ計算するのは悪手です.いつも通り\(f(x)-g(x)\)を特徴付ける情報に目をつけ,得られた被積分関数は(数学Ⅱのみの履修であっても)合成関数(のちに記事にします)とみなすべきです.公式として覚えてもよいですが,見ての通り証明は容易なので,これは結果を覚えるというより上のように計算した方がよいでしょう.

囲まれる部分の面積 その3

上の曲線と直線で囲まれる部分の面積\(S\)は,いずれの場合も\[S = \frac{|a|(\beta-\alpha)^4}{12}\]で表される.

証明

(① \(a>0\)で\(f(x)\)が上の場合)

被積分関数\(f(x)-g(x)\)がどんな関数になるかを考える.これは,

      • \(3\)次式で,
      • 次数が一番大きい項の係数は\(a\)で,
      • \(x=\alpha\)で交わり\(x=\beta\)で接する,すなわち\(f(x)-g(x)=0\)を解いて得られる\(2\)つの解が\(\alpha,\beta,\beta\)である

ことに着目すると,\[g(x)-f(x) = a(x-\alpha)(x-\beta)^2\]とかける.したがって求める部分の面積は
\begin{align*}
&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} a(x-\alpha)(x-\beta)^2 dx \\
=~&\displaystyle a\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta)^2 dx\\
=~&\frac{a(\beta-\alpha)^4}{12}\tag{2}\\
=~&\frac{|a|(\beta-\alpha)^4}{12}
\end{align*}
(② \(a>0\)で\(f(x)\)が下の場合)

上と同様に考え,
\begin{align*}
&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} \{g(x)-f(x)\} dx \\
=~&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} -a(x-\alpha)^2(x-\beta) dx \\
=~&\displaystyle -a\int_{\alpha}^{\beta} (x-\beta)(x-\alpha)^2 dx\\
=~&\displaystyle a\int_{\beta}^{\alpha} (x-\beta)(x-\alpha)^2 dx\\
=~&\frac{a(\beta-\alpha)^4}{12}\tag{2}\\
=~&\frac{|a|(\beta-\alpha)^4}{12}
\end{align*}
(③ \(a<0\)で\(f(x)\)が上の場合)

\begin{align*}
&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} \{f(x)-g(x)\} dx \\
=~&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} a(x-\alpha)^2(x-\beta) dx \\
=~&\displaystyle a\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^2(x-\beta) dx\\
=~&\displaystyle -a\int_{\beta}^{\alpha} (x-\beta)(x-\alpha)^2 dx\\
=~&\frac{-a(\beta-\alpha)^4}{12}\tag{2}\\
=~&\frac{|a|(\beta-\alpha)^4}{12}
\end{align*}
(④ \(a<0\)で\(f(x)\)が下の場合)

\begin{align*}
&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} \{g(x)-f(x)\} dx \\
=~&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} -a(x-\alpha)(x-\beta)^2 dx \\
=~&\displaystyle -a\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta)^2 dx\\
=~&\frac{-a(\beta-\alpha)^4}{12}\tag{2}\\
=~&\frac{|a|(\beta-\alpha)^4}{12}
\end{align*}
以上により,いずれの場合も面積\(S\)は\[\frac{|a|(\beta-\alpha)^3}{6}\]で表されることになる.

証明終

やはり,交点\(\alpha,\beta\)と\(a\)さえ分かってしまえば面積は求まってしまいます。\((2)\)はここの公式によります.

囲まれる部分の面積 その2


上の\(2\)つの放物線と直線で囲まれる部分の面積\(S\)は,\[S = \frac{|a’-a|(\beta-\alpha)^3}{6}\]で表される.

証明

被積分関数\(g(x)-f(x)\)がどんな関数になるかを考える.これは,

      • \(2\)次式で,
      • 次数が一番大きい項の係数は\(a’-a\)で,
      • \(x=\alpha,x=\beta\)で交わる,すなわち\(g(x)-f(x)=0\)を解いて得られる\(2\)つの解が\(\alpha,\beta\)である

ことに着目すると,\[g(x)-f(x) = (a’-a)(x-\alpha)(x-\beta)\]とかける.したがって求める部分の面積は
\begin{align*}
&\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} (a’-a)(x-\alpha)(x-\beta) dx \\
=~&\displaystyle (a-a’)\int_{\alpha}^{\beta} -(x-\alpha)(x-\beta) dx\\
=~&\frac{(a-a’)(\beta-\alpha)^3}{6}\tag{1}\\
=~&\frac{|a’-a|(\beta-\alpha)^3}{6}
\end{align*}証明終

\(|a’-a|\)はもちろん\(|a-a’|\)でもいいです.要は上下関係なく機械的に‘係数の差’の絶対値をとればいい,ということです.\((1)\)はここの公式によります.