\[\text{\(n \rightarrow \infty\)のとき\(\frac{a}{n} \rightarrow 0\),すなわち\(\lim_{n \rightarrow \infty}\frac{a}{n}=0\)}\]
であることをアルキメデスの公理から導け.(田島一郎 解析入門 P19問10)
(証明)
示したいことは,\(a>0,~n\in \mathbb{N}\)であるから,
\[
\begin{align*}
&\forall \epsilon>0 \exists m \left[n>m \Longrightarrow \left|\frac{a}{n}-0\right|<\epsilon \right]\\ \Longleftrightarrow~&\forall \epsilon>0 \exists m \left[n>m \Longrightarrow \frac{a}{n}<\epsilon \right]\\ \Longleftrightarrow~&\forall \epsilon>0 \exists m \big[n>m \Longrightarrow n\epsilon >a \big]\tag{\(\ast\)}\\
\end{align*}
\]である.
ここで,アルキメデスの公理とは,\(h\)を正の定数として,
\[\forall K>0 \exists N \big[n>N \Longrightarrow nh > K \big]\]
というものであった.
今,この公理における大前提として与えられている正の定数\(h\)を\(\epsilon\)であるとする.すなわち
\[\forall K>0 \exists N \big[n>N \Longrightarrow n\epsilon > K \big]\]
\(K\)は任意であるから,\(K=a\)とすると,この\(a\)に対応して\(N\)が存在して,
\[n>N \Longrightarrow n\epsilon > a\]
が成り立つと言える\((\ast\ast)\).
ここで改めて\((\ast)\)について考える.\(\epsilon\)は任意に与えられるわけだが,いちど与えらえた以上それは定数であることに注意すると,結局
\[n>m \Longrightarrow n\epsilon >a\]
をみたす\(m\)の存在を示せばよいが,これは\((\ast\ast)\)により\(m=N\)と提示できる.(証明終)