\(y=ax^2\)のグラフを,\(x\)軸方向に\(p\),\(y\)軸方向に\(q\)だけ平行移動した放物線は\[y=a(x-p)^2+q\]である.
この公式を教科書ではどのように説明しているかというと…
\(y=2x^2,~y=2x^2+3\)という具体例を持ち出してこの二者の関係を調べて(表または実際にグラフを描き),そこから\(y=2x^3+3\)のグラフは,\(y=2x^2\)のグラフを\(y\)軸方向に\(3\)だけ平行移動したものである,と結論し,
\[\downarrow\]
\(y=2x^2,~y=2(x-3)^2\)という具体例を持ち出し,表からこの二者の関係を調べて\(y=2(x-3)^3\)のグラフは,\(y=2x^2\)のグラフを\(x\)軸方向に\(3\)だけ平行移動したものである,と結論し,
\[\downarrow\]
そしてこの二つから上の公式を結論しています(詳しくはお手持ちの教科書参照).
この公式に限らず,高校の教科書は\[\textbf{具体例}\rightarrow\textbf{一般論}\]という書き方をしています.「この場合はこうだよね~,あの場合もこうだよね~,ということは一般にこう言えるよね~」という論法ですね.これで「ああなるほど!」と思えればいいんでしょうけど,なんか騙された気がするひとも少なくないはず.実際,数学を学ぶ姿勢としてはこれだけでは納得できない(しない)方がむしろよいと思います.二,三の例が正しいからとしって他の例も正しいとは限りませんからね.
というわけで証明(※注意 pdfファイルです)
いわゆる「教科書通り」にやるとこういったことを飛ばすことになるんですが,それが「数学を勉強している」ことになるんでしょうか…?もっとも,こういった話はテストに出ない(出せない)わけですからやったところでスコアにはならない.その意味においてはやる意味がない,のかもしれませんが….でも,天下り的に与えられた解決策をただ覚えるだけではないある意味メタ的な能力を培うことも数学を学ぶ重要な意義のひとつだと思うんですが.まあ,教える側,教わる側共々様々な事情・制約がありますから,難しい問題です.