「でない」「かつ」「または」「ならば」の定義

最初に「命題」「条件」という言葉の確認から.

命題:正しいか正しくないかを一意的に判定できる主張
条件:変数(変項ともいいます)を含む命題

これらは高校生は数学Ⅰで既習だと思います.

以下,\(p,~q\)を命題とします.\(\overline{p},~p\land q,~p \lor q,~p\rightarrow q\)を改めて定義します.

定義

\(p\land q\)
\(p\)と\(q\)が両方真のときのみ真で,その他の場合はすべて偽となるような命題.この命題を「\(p\)かつ\(q\)」と呼び,\(p \land q\)と表す.

\(p \lor q\)
\(p\)と\(q\)が両方偽ときのみ偽で,その他の場合はすべて真となるような命題.この命題を「\(p\)または\(q\)」と呼び,\(p \land q\)と表す.

\(\overline{p}\)
\(p\)が真のときに偽で\(p\)が偽のときに真となるような命題.この命題を「\(p\)でない」あるいは「\(p\)の否定」と呼び,\(\overline{p}\)あるいは\(\lnot{p}\)と表す.

\(p\rightarrow q\)
\(p\)が真で\(q\)が偽のときのみ偽で,その他の場合はすべて真となるような命題.この命題を「\(p\)ならば\(q\)」と呼び,\(p\rightarrow q\)と表す.

上が\(p\land q,~p \lor q,~\lnot p,~p\rightarrow q\)の定義です.…が,とても見にくいですね.そこで以下のような表でまとめてみます.Tは真(True)を,Fは偽(False)を表すとします.


大分見やすくなりました.これを,「真理表(または真理値表)」と呼びます.以後,\(p\land q,~p \lor q,~\lnot p,~p\rightarrow q\)を上の表に従う命題とし,これらの表に基づき各種命題の真偽判定していくことになります.

(補足1)
ところで,この定義の中で唯一違和感があるとしたら,「『\(p\)ならば\(q\)』は,\(p\)が偽のとき\(q\)の真偽に関わらず真とする」という点かと思います.定義なんだからつべこべ言わず受け入れましょう,と言いたいところですが(「定義する」と言われたら受け入れるしかない?),あえて感覚的な説明をするとしたら,次のように考えると受け入れやすいかもしれません:

とある家庭で父親が息子に言いました「テストで満点をとったら,スマホを買ってあげるよ」と.

このとき,次の4つのケースが考えられます.

    1. 息子が満点をとり,父親がスマホを買ってあげる
    2. 息子が満点をとり,父親がスマホを買ってあげない
    3. 息子は満点をとれず,父親がスマホを買ってあげる
    4. 息子は満点をとれず,父親がスマホを買ってあげない

このうち,父親が「約束を守った・破った」ことになるのはどれかを考えてみます.1.これは父親はきちんと約束を守っています.2.これは父親は明らかに約束を破っていますね.さて,3と4についてはこのように考えられないでしょうか:

そもそも息子が満点を取ってない以上,父親が買ってあげようとも(満点とれなかったのにラッキーですね)買ってあげずとも,約束を破ったことにはならない,すなわち約束を守ったことになる.

このように考えると「ならば」を上のように定義することが感覚的に受け入れられるのではないでしょうか.

(補足2)
命題\[p \longrightarrow q\]
が真であることを,
\[p \Longrightarrow q\]
と表します.ですから,「\(p \Rightarrow q\)」は「\(p \rightarrow q\)が真である(成り立つ)」と読み替えられます.

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